ニュース

富士通が政府向けクラウド事業に本格参入、政府機関特有の安全性基準に対応

 富士通株式会社は6日、日本政府向けのクラウド事業に本格参入すると発表した。既存のクラウドサービス「FUJITSU Cloud Service for OSS」をベースに、中央省庁および関連機関向けの新たなクラウド(以下、ガバメントクラウド)を開発し、5月より販売を開始する。

 このガバメントクラウドは、政府機関特有の安全性基準を満たし、機密性の高いデータを取り扱う基幹業務を中心とした政府の情報システムを、安心・安全にクラウド上へ構築可能なクラウドサービス。

 システムのベースには、富士通の国産クラウドサービス「FUJITSU Cloud Service for OSS」を採用。データが国外に流出するリスクを抑制する。なお、オープンソースソフトウェア(OSS)によるマルチベンダー対応が可能なため、ベンダーロックインのリスクを抑止し、ユーザーの要件にあわせた最適なシステム構築を行えるとのことだ。

 また、運用にあたる富士通グループの専任スタッフを明確化することで、高い運用スキルをもとに、ユーザーのシステム状況に応じた柔軟な運用を支援可能。さらに、システム監査への対策として、オンプレミスシステムと同様に、中央省庁および関連機関のシステムごとにアクセスログを抽出し、提供できるようにする。

 加えて、安全性基準に従い、クラウド基盤の利用機器一覧であるサプライチェーンリストを開示することで、データ流出などに備えたリスク管理にも対応するとした。

ガバメントクラウドの主な特長

 具体的なサービスとしては、システム要件に応じ、各省庁や関連機関の間で、サーバー、ストレージ、クラウド管理機能などのクラウド環境を共有する「サーバ共有型」、省庁ごとにサーバーとストレージを専有し、クラウド管理機能を共有する「サーバ専有型」、クラウド管理機能を含めてクラウド環境を専有する「完全専有型」の3タイプを用意。単体もしくは各タイプのハイブリッド構成で提供する。

ガバメントクラウドのサービス概要

 なお料金についても、使用量に応じて変動する従量課金に加えて、数年単位の年額契約にも対応。また、利用期間をあらかじめ確定させることで、通常より料金を抑えられるプランと従量制プランを組み合わせたサービスを用意するなど、システムごとに柔軟に設定するとした。

 富士通ではガバメントクラウドについて、2022年度末までに、中央省庁および関連機関の100システム以上への導入を目指している。