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NTTPCとドコモ、SD-WANと5Gを組み合わせた実証実験を実施

両者の特性を生かした新ソリューションの創出拡大を目指す

 株式会社NTTPCコミュニケーションズ(NTTPC)は23日、同社のSD-WANと、NTTドコモの5Gネットワークとを組み合わせた実証実験の結果を発表した。いずれも問題なく接続できることを検証したという。

 同日の記者発表会でNTTPC 第二サービスクリエーション部 部長の上田信昭氏は、実証実験の結果をもとに、「先進的な取り組みを進めることで、5GとSD-WANの特性を生かした新たなソリューションの創出拡大を目指していきたい」と語った。

 SD-WANサービスに5Gを組み合わせる意義としては、例えばモバイル回線+SD-WANサービスにより“広帯域ではなくていいからすぐに接続したい”という要望に応えられること、そしてVoIPやビデオ会議といった固定回線でしか実現できなかった用途を5Gで実現できることなどが語られた。

NTTPC 第二サービスクリエーション部 部長の上田信昭氏
実証実験について説明したNTTPC 第二サービスクリエーション部の進藤宙氏

 NTTPCのSD-WANサービス「Master'sONE CloudWAN」は、インターネット上のオーバーレイネットワーク(オーバーレイタイプ)またはフレッツの閉域ネットワーク(セキュアパッケージ)による拠点間接続のサービス。主に中小企業を対象とする。接続する両端にソフトウェアベースのエッジ装置を設置し、コントロールパネルから一元的に柔軟に設定できる。これによって、例えば2~3週間かかっていたVPN設定が2~3分に短縮されるといったメリットがあるという。導入企業として、製造業や流通業、保険業などの事例が紹介された。

Master'sONE CloudWANの導入事例

 今回の実証実験は、ドコモの5Gオープンパートナープログラムに参加して行われた。ドコモのラボに、PCと、Master'sONE CloudWANのエッジ装置を持ち込み、インターネット経由と5Gネットワーク経由のSD-WAN通信トンネルでNTTPCコミュニケーションとの間を接続して検証した。5G接続には、ドコモの用意した試験用の5Gルータが使われた。

検証の構成
Master'sONE CloudWANのエッジ装置
ドコモの用意した試験用の5Gルータ

 検証したユースケースは3種類で、いずれも問題なく接続できることが確認された。

 1つめは、インターネット5Gネットワーク上でSD-WAN通信トンネルを確立するもの。工事現場や店舗など、固定回線が敷設しづらい環境から社内にアクセスするユースケースを想定している。

3つのユースケースを検証
ユースケース1:5G上でSD-WAN通信トンネルを確立

 2つめは、5G上のSD-WAN通信トンネルで接続したセンターから、インターネット経由でOffice 365などの業務アプリケーションに接続するもの。Master'sONE CloudWANではOffice 365などのアプリケーションを判別して閉域ネットワークを経由せずに直接接続するインターネットブレークアウト機能を提供しているが、その逆のケースとなる。これは、センター側でセキュリティを管理している企業でも利用できることを検証したものだという。

 3つめは、オーバーレイタイプなど固定回線によるネットワークに障害があったときに、5Gによるバックアップ回線に接続自動的に切り替える、SD-WANの回線冗長化を生かすものだ。

ユースケース2:5G+SD-WANで接続したセンターからインターネット上に接続
ユースケース3:固定回線に障害があったときに5Gに切り替える

 これらの実験結果をふまえた5G+SD-WANの将来展望として、映像などのリアルタイムかつセキュアなコミュニケーションの「高速低遅延ネットワークを介したセキュアな双方向通信」、エッジコンピューティングによりデータ処理する「エンドポイントでのデータ処理と映像配信」、SD-WANの管理性と5Gの多拠点接続をIoTに応用した「デリバリー&ハードウェアマネジメント」の3つが語られた。

5G+SD-WANの将来展望