ニュース

日本オラクルのヨハンセンCEOが会見、「DXで顧客を支援する」 大阪データセンターは近日中に開設へ

 日本オラクル株式会社は20日、事業方針説明会を開催し、同社 執行役 最高経営責任者のケネス・ヨハンセン氏が「デジタルトランスフォーメーション(DX)こそ社会の課題を解決するソリューションとなる」と述べた。

 ヨハンセン氏は、2019年9月に日本オラクルのCEOに就任。欧州から日本に来た同氏は、「欧州も日本も、高齢化社会という同じ課題を抱えている」と話す。この課題を「デジタルトランスフォーメーションで解決できる」とヨハンセン氏は述べ、「オラクルはこの分野で社会を支援できる会社だ」としている。

日本オラクル 執行役 最高経営責任者 ケネス・ヨハンセン氏

 ヨハンセン氏は、就任以来日本の顧客を訪問し、日本でもDXに取り組んでいる顧客が多いことを感じたという。中でもデータをビジネスの中核としてとらえ、データ活用によって顧客体験を向上させようという取り組みが注目されているが、「Forrester Consultingの2019年11月の調査では、効果的にデータ活用できている企業は11%のみという結果が出た」とヨハンセン氏は指摘。日本オラクルとして、「2020年もデータ活用に関する課題を抱える企業のDXを支援する」とした。

 日本オラクル 専務執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括のピーター・フライシュマン氏は、経済産業省が発行するDXに関するレポートを引用し、「DXを加速させなければ、2025年以降の国内における経済的損失額は年間12兆円にのぼると予測されている」と警告。

 「既存のレガシープラットフォームやオンプレミスシステムなど、大型のブラックボックスシステムでは素早い変化に対応できない。オラクルは毎年プロダクトイノベーションに60億ドル以上投資しているが、既存システムの平均的な入れ替えサイクルは5~10年で、こうしたシステムを利用している顧客はその間、新たなイノベーションの恩恵が受けられなくなる。クラウドであれば、数カ月単位で製品がアップデートされ、その恩恵をすぐに受けることが可能だ」として、クラウドへの移行で2025年に備えるべきだとしている。

日本オラクル 専務執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括 ピーター・フライシュマン氏

 またフライシュマン氏は、市場で起きている変化のひとつとして、サブスクリプションモデルを取り上げた。NetflixやSpotifyなど、B2Cの世界ではサブスクリプションモデルが普及しているが、「2020年はB2Bの世界でもこうしたモデルを採用する企業が増えるだろう」とフライシュマン氏。その一例として、ロールスロイスが航空機エンジンの費用を飛行時間単位で購入できる仕組みを導入していると紹介した。

 こうした新たな料金体系を導入するには、このモデルをサポートするソリューションが必要となるが、「すでにオラクルはサブスクリプションモデルを支える準備が整っている」とフライシュマン氏。「CRMやカスタマーエクスペリエンスなどの機能で、このモデルがサポートできる。オラクルにとっては大きな機会だ」とフライシュマン氏は述べた。

2カ所目の国内データセンター開設に向けて

 日本オラクルでは、2019年5月にクラウドインフラ用データセンターを東京に開設し、データベースやインフラサービス、プラットフォームサービス、ソフトウェアサービスなど、さまざまなサービスを展開している。ヨハンセン氏によると、すでに東京データセンターの利用顧客は1000社を超えており、「短期間にこれほどの顧客に利用されたことで自信がついた」と話す。

 近日中には大阪データセンターの開設も計画している。「国内2カ所目のデータセンター開設により、災害対策も万全となる。クリティカルなワークロードをオラクルクラウドに入れることを検討している顧客も多い」とヨハンセン氏。具体的な数値目標は明らかにしなかったものの、「オラクルとしても大規模に投資している分野。期待は大きい」と述べた。