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テレコムエッジの5Gクラウドを実現する基盤に――、HPE、エッジコンピュータの最上位機種「Edgeline EL8000」を発表
2019年11月27日 11:28
Hewlett Packard Enterprise(HPE)の日本法人である日本ヒューレット・パッカード株式会社は26日、通信事業者や製造業における超大容量データのリアルタイム処理に適したエッジコンピュータの新製品「HPE Edgeline EL8000 Converged Edge System」(以下、HPE Edgeline EL8000)を、同日より販売開始すると発表した。
「HPE Edgeline EL8000」は、エッジにおける5G、MEC(Multi-access Edge Computing)のNFV(Network Functions Virtualization)基盤に最適化した、エッジコンピューティングサーバーの最上位機種。マルチメディア配信やコネクテッドモビリティ、スマートシティを実現するための、IoT、AI、動画解析など、大容量データをエッジにおいて低遅延で処理するニーズにも適している。
テレコムエッジ向け新製品をリリースする狙いについて、日本ヒューレット・パッカード 執行役員 ハイブリッドIT事業統括の五十嵐毅氏は、「超高速・多数同時接続・低遅延を実現する5Gの登場によって、エンタープライズネットワークは新しい時代に入る。そして、5G時代の通信サービスではエッジ側でリアルタイムに大容量データを処理する5Gクラウドが重要になると考えている。特に通信事業者では、アンテナ局の近くに5Gによるクラウドを構築することで、エッジ側にデータセンター的な機能を持たせることが可能になる。また、企業や地方自治体では、セキュリティを重視したローカル5Gによるプライベートなエッジクラウドを構築することができる」と説明。
「今回の『HPE Edgeline EL8000』は、こうした5G時代のテレコムエッジに求められる大容量データ処理、レスポンス、安全性を満たし、5Gクラウドを実現する最新のエッジコンピューティングサーバーとなる」と述べた。
「HPE Edgeline EL8000」の製品特徴としては、高さ21.2cm(5U)、幅22.1cm(19インチラック幅半分)、奥行き43.2cmの省スペース設計のシャーシに、最大24コアのインテルXeonプロセッサ・スケーラブル・ファミリーを4基、合計メモリ4TB、ストレージ77.8TBを搭載可能。また、通信機器向けの規格であるNEBS Level 3に準拠する高温での動作(0-55℃)、耐振動・耐衝撃性に加え、先進のセキュリティ・遠隔管理性を備えている。
専用ブレードユニットとして、インテルXeon SPプロセッサ搭載の「HPE ProLiant e910 Blade Server」を2タイプ(1U/2U)用意しており、5Uのシャーシ内に自由に構成することができる。さらに今後、空気の流れが逆方向になるファンをオプションとして発売する予定で、これにより、さらに高集約の配置を行うことが可能になるという。
日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッド製品統括本部 Edgelineカテゴリマネージャーの北本貴宏氏は、「『HPE Edgeline EL8000』は、テレコムエッジにおいて、通信事業者の5G/MECや、企業・自治体のプライベートLTE/ローカル5Gサービスを実現する5Gクラウドプラットフォームとして展開していく。海外では、すでにSamsung ElectronicsやNokia Corporationなどの通信機器ベンダーとの協業展開が進んでいる。さらに、今後の可能性としては、『HPE Edgeline EL8000』の保護ボックスを提供することで、データセンターレベルのサーバーを人手で運搬し、離れたエッジにおいても高度なデータ処理を実現できるようになる」との考えを示した。
「HPE Edgeline EL8000」の価格は、1Uタイプの「HPE ProLiant e910 1U Blade Server」を1機搭載時で214万7000円(税別)から。
住友重機械工業の導入事例を紹介
なお、同日に開催された説明会では、「HPE Edgeline」のユーザー事例として、住友重機械工業 プラスチック機械事業部 技術部 主任技師の羽野勝之氏が、同社の射出成形機向け生産品質管理システム「i-Connect」の取り組みについて紹介した。
「i-Connect」は、エッジ層に位置する成形工程向けの生産品質管理システムで、成形現場のデータを集約し、稼働状態や生産進捗の見える化、遠隔サポートなどを実現する。同社では、「i-Connect」のデータ収集用サーバーとして「HPE Edgeline EL300」と「HPE Edgeline EL1000」を導入しているという。
「HPE Edgeline」を選定した理由について羽野氏は、「製造現場近くのオフィスなどへの設置を考慮し、高い堅牢性を備えている点を重視した。また、HPEとのOEM契約により、日本から海外へ輸出したHPE製品の保守を現地で受けられる点もポイントだった。さらに、HPE IoTコンピテンスセンターを利用して、120台の機械を模擬した通信評価テストなどを行うことが可能になった」ことを挙げた。