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東北電力、NECのソフトウェアを利用しドローンによる送電線自動追尾点検を試行導入

 東北電力株式会社は28日、送電設備の保守点検業務の安全性向上や効率化を目的として、日本電気株式会社(以下、NEC)の開発した「ドローン用送電線自動追尾撮影ソフトウェア」(以下、撮影ソフトウェア)を用いて、送電線をドローンで自動追尾点検する手法を試行導入すると発表した。東北電力とNECでは、福島県の南相馬市と浪江町の協力のもと、2019年7~8月に実証実験を実施し、点検手法の有効性を確認したため、今回の試行導入につながったという。

 送電線の点検作業としては、従来、作業員が送電鉄塔に昇って、微小な雷撃痕や素線切れといった送電線、架空地線(避雷用の電線)の異常の有無を目視点検している。しかし、高所作業に関する十分な安全対策や点検個所の停電が必要となるなど、多くの労力と時間がかかっていたとのこと。

 また、こうした点検にドローンを活用しようとしても、風により揺れが生じ得る送電線と適切な離隔距離を確保しながら鉄塔間を飛行・撮影しなくてはならないので、距離を測るセンサーが必要になってしまい、搭載機器の重量の制約により、長時間の運航が困難とされてきたという。

 今回、東北電力が採用した撮影ソフトウェアは、こうした課題を踏まえながらNECが開発したもの。DJI社製ドローンの標準構成品(タブレット)にインストールすると、センサーなどを用いなくとも、ドローンと送電線との間で適切な離隔距離を確保しながら安定的に自律飛行させることが可能になるため、搭載機器を軽量化し長時間の運航を実現する。さらに、ドローンに搭載したカメラで送電線を自動検知(自動追尾)し、鮮明に撮影できるとした。

 この手法を利用すると、従来の手法では必要だった停電が不要。鉄塔上での作業をドローンで代替できるとともに、より少ない人数で点検が可能になるので、作業の安全性向上や効率化が図られるとしている。