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国内プライベートクラウド市場、2023年には2018年の4.7倍へ拡大~IDC Japan予測
2019年10月25日 14:14
IDC Japan株式会社は24日、国内プライベートクラウド市場予測を発表した。それによると、2018年の同市場規模は前年比38.6%増の5764億円で、2018年~2023年の年間平均成長率(CAGR)は36.4%で推移し、2023年には2018年比で4.7倍、2兆7194億円まで拡大すると予測されている。
同社では現在の国内市場について、プライベートクラウドよりパブリッククラウドに対する注目度が高まっているとし、その理由としては、ユーザー企業のパブリッククラウドに対するセキュリティの懸念が解消傾向にあることや、既存アプリケーションのパブリッククラウドへの移行を促すベストプラクティスの整備が進んでいること、また運用サービス(マネージドサービス)の拡充、AI/機械学習やクラウドネイティブアーキテクチャといった技術の発展、などをその理由として挙げた。
一方でパブリッククラウド、特にIaaSやPaaSの導入では、「新しいスキルの習得」「運用や管理の見直し」「ソフトウェアライセンスやコストの管理強化」といった点がユーザー企業に対して求められており、それが導入障壁になっているという。
またプライベートクラウドも、セキュリティ機能/サービスの強化や、インフラからアプリケーションまでを網羅したマネージドサービス提供などの拡充が進み、「過去資産(ソフトウェアやITスキル)の継承性」「柔軟な運用性」「システム/データの配備場所」を重要視して、プライベートクラウドを選択するユーザー企業も多く存在すると指摘。こうした要因が国内プライベートクラウド市場の成長を促進しているとした。
なお国内市場でのプライベートクラウドは、従来、ITの効率化を目的とした既存システム(特に基幹系システム)からの移行に適したクラウドだと考えられる傾向があったものの、すでにプライベートクラウドは発展しており、コンテナ環境やAI/機械学習、オープンAPIなどの新技術に対応しているとのこと。
さらに、ハイブリッドクラウド環境における統合運用管理の発展も進んでおり、企業のプライベートクラウドに対する関心は、ITの効率化からデジタルトランスフォーメーション(DX)へと拡大しているという。
加えて、パブリッククラウドとプライベートクラウドの技術基盤は、相互に強い影響を与えて発展しており、パブリッククラウドの課題だった「過去資産の継承性」「柔軟な運用性」は、技術的な視点では解消傾向にあると指摘。ユーザー企業のプライベートクラウドに対する期待では、「コストの優位性」「セキュリティ要件やネットワーク環境を考慮したシステム/データの配備場所」「産業特化型サービス」が重要になってくるとした。