ニュース

2017年の国内プライベートクラウド市場は前年比40.6%増の4223億円、2022年には4.9倍の規模に拡大~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は6日、国内プライベートクラウド市場の予測を発表した。2017年の国内プライベートクラウド市場規模は前年比40.6%増の4223億円、同市場の2017年~2022年の年間平均成長率は37.6%で推移し、2022年の市場規模は2017年比で4.9倍の2兆851億円に達すると予測している。

国内プライベートクラウド市場 支出額予測、2017年~2022年(出展:IDC Japan)

 IDC Japanでは、現在、国内市場においては「クラウドファースト」から「パブリッククラウドファースト」へと、クラウド戦略を変更する企業が増加していると分析。この背景には、パブリッククラウドのセキュリティに対する漠然とした懸念が解消されるとともに、従来型ITからのパブリッククラウドへの移行を支援するツールやサービスの拡充などが挙げられるとしている。

 企業におけるクラウド戦略の見直しは、国内クラウド市場に大きな影響を与えており、これまでの国内市場では、パブリッククラウドとプライベートクラウドは補完しながら、国内クラウド市場の成長を促してきたが、パブリッククラウドの発展が、プライベートクラウド市場の成長を阻害する要因へと変化していると説明。一方、基幹系システム領域では「過去資産(ソフトウェア、データ、ITスキル)の継承性」や「柔軟な運用性」を重要視し、パブリッククラウドではなくプライベートクラウドを選択する企業は多く、国内プライベートクラウド市場の成長を促進しているという。

 プライベートクラウドでは、基幹系システムの従来型ITからの移行だけではなく、デジタルトランスフォーメーション(DX)に対する関心も高まっており、効率化を目的とした「産業特化型の共同センター」から「クラウドによる効率化と、DXの基盤」となるインダストリークラウドは高い成長が見込まれると分析。また、ハイブリッドクラウドと相性が良く、優れた管理性を有する「ハイパーコンバージドシステム」への注目も高まっており、これらの動向が今後の国内プライベートクラウド市場の成長を促進すると予測している。

 IDC Japan ITサービス リサーチディレクターの松本聡氏は、「人の知見/労働力を活用すれば運用管理の柔軟性を高めることは可能である。しかし、運用管理の効率化や、ガバナンス/セキュリティを強化するためには、ソフトウェアを活用した自動化は欠かせない。また、運用管理だけではなく、開発の自動化を合せて強化することがベンダーには求められている」と分析している。