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IIJ、Tesla製蓄電池「Powerpack」をデータセンターに導入、空調電力の約15%削減を目指す

Tesla製蓄電池「Powerpack」

 株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は21日、同社の白井データセンターキャンパス(以下、白井DCC)に、米Tesla製の産業用リチウムイオン蓄電池「Powerpack」を導入し、11月1日に稼働を開始すると発表した。

 IIJでは、白井DCCの空調で使用する電力設備にPowerpackを導入。空調の使用電力が低い夜間に充電し、使用電力が高い昼間に放電することで、空調電力のピークカットとピークカットを実現し、運用コストの約4割を占める電気代において、空調設備のディマンド値(ピーク電力)で約15%の削減を目指す。

 充電時はオフピーク時の割安な料金で電気を購入できるとともに、電気代の基本料金はディマンド値を基にして算出されるため、電力の最大値を下げることで電気料金が抑制できる。

データセンターにおけるピークカット/ピークシフト
IIJの堤優介氏

 IIJ基盤エンジニアリング本部データセンター技術部企画課主任の堤優介氏は、IIJはこれまでも外気冷却を利用した松江データセンターパークなどで、環境性能に優れたデータセンターの構築・運用に取り組んできたが、外気冷却ができない夏季の日中に電力ピークが発生し、電力需要の平準化ができていないという問題があったと説明。特に大きく変動するのは空調機器の消費電力のため、この部分にリチウムイオン蓄電池を活用したエネルギーマネジメントを白井DCCに導入することを検討していたという。

 従来のデータセンターでは、商用電源の供給がストップした際に、非常用発電機が稼働するまでの間のためなどに蓄電池が用意されており、蓄電池の利用は非常時のみにとどまる。また、コストや安定性を重視し、成熟化された鉛蓄電池の採用が一般的となっているという。

負荷の平準化実現へのアプローチ

 IIJでは、非常時の電力供給の継続という用途だけでなく、常時の電力供給用として、動的に稼働する蓄電池の実装に向けて調査を進めてきたが、データセンターが求める規模の製品ラインアップが少なく、別業種を含めて調査を行った結果、TeslaのPowerpackがデータセンターに導入可能なエネルギーマネジメント機能付き蓄電池として採用に至ったという。設備は、株式会社関電エネルギーソリューション(以下、Kenes)のユーティリティサービスを利用する形での導入となっている。

IIJの要求にマッチした「Powerpack」

 Powerpackの出力は436kW、容量は696kWhで、バックアップ用途の容量を確保しつつ、電力需要の平準化制御を行う。また、バッテリーのライフサイクルが15年と低い運用コストとなる点も特徴となる。導入コストについては従来の鉛蓄電池とほぼ同等で、電力コストについては2035年までの総額で約5000万円の削減効果が見込まれると試算している。

Powerpackのスペック

 IIJでは、運転開始当初は最適な制御を実現するためのチューニング期間とし、年間を通したピーク電力が初めて訪れる2020年夏季の効果を目指すと説明。さらに今後は、太陽光発電などの再生可能エネルギー電源の導入と安定化、複数のエネルギー源の装備によるブラックアウトなどへの障害耐性の強化、コンテナ型データセンターへの応用、電力需要の調整や売電などによる電力料金削減と収益最大化など、データセンターのエネルギーリソースとして蓄電池の活用シーンを拡大していく予定とした。

今後の取り組み