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日本マイクロソフト、政府・自治体向けに専任組織新設 政府・自治体向けのトップを目指す

 日本マイクロソフト株式会社は24日、政府・自治体向け専任組織「デジタル・ガバメント統括本部」をパブリックセクター事業本部内に新設したと発表した。

 同社はこれまでも政府・自治体向けビジネスを展開しており、中央省庁向けにSaaSであるMicrosoft TeamsやOffice 365を、中央省庁と地方自治体のコミュニケーションプラットフォームとしてビジネスアプリケーションのDynamics 365を提供しているほか、自治体の住民向け新規サービスの基盤としてMicrosoft AzureのPaaSを活用したり、外郭団体のオンプレミスをクラウド化する際にMicrosoft AzureをIaaSとして活用したりするなど、日本マイクロソフトのクラウドソリューション導入を増やしている。

政府・行政機関における採用が加速

 「日本政府が掲げているクラウド・バイ・デフォルト実現を支援してきた。単にプラットフォームをオンプレミスからクラウドに載せ替えるのではなく、国民や市民にとってメリットある活用となるべく、Microsoft Azure、Office 365、Dynamics 365の3つのクラウドを組み合わせ、さまざまな提案を行ってきた。その結果、この1年で実績も増えてきた。今回、新組織を発足させ、日本マイクロソフトは公共基幹システムのナンバーワン クラウドプロバイダを目指す」(日本マイクロソフト 執行役員常務 パブリックセクター事業本部長の佐藤知成氏)としている。

日本マイクロソフト 執行役員常務 パブリックセクター事業本部長の佐藤知成氏

 今回、新設するデジタル・ガバメント統括本部では、政府・自治体と接する中で挙がった声に対応する。責任者に就任した、日本マイクロソフト 業務執行役員 パブリックセクター事業本部 デジタル・ガバメント統括本部長の木村靖氏は、「ワールドワイドの先進事例を紹介しているが、知りたいのはアウトプットではなく、デジタル戦略を立てることができる人材をどのように育成したのか、といった人材育成が鍵という声をもらった。従来の製品説明ではなく、デジタル変革実現を実現するための具体的提案が求められている」と分析。人材教育など、政府・自治体がデジタル変革するための支援を行っていく。

日本マイクロソフト 業務執行役員 パブリックセクター事業本部 デジタル・ガバメント統括本部長の木村靖氏

先行する諸外国を追い越していくような流れを作っていきたい

 日本マイクロソフトでは、政府が掲げる「クラウド・バイ・デフォルト」実現に向け、先行する英国ロンドン、豪州、米国、シンガポールといった国の状況を徹底調査。さらに、日本のクラウド導入に適した提案などを行ってきた。

 本年度はこうした提案に加え、デジタル・ガバメント統括本部を新設。以前から政府・自治体を担当してきたスタッフ25人に加え、業界ソリューションのクラウドアーキテクトやグローバルエキスパート10人の35人体制でスタートした。

 政府・自治体とビジネスを行う中で挙がった、先進的な変革事例をどのような組織、体制、意識、予算、仕組み、規制の中で実践したのかといった具体的な対応を知りたいという声に対応。さらにクラウドネイティブ時代の官公庁側のICT体制のあり方、Society5.0時台に向けた職員のデジタル活用力向上支援、製品提案ではなく変革をともに推進するといったニーズに対応する。

 「実際にリクエストに応えるために、UK政府のクラウド導入を推進したエキスパートをこの組織に配置した。さらにジェネラリストではなく、セキュリティスペシャリストなど各分野のスペシャリストを配置する体制とすることで、具体的な相談に答えていくことができる体制を作っていく」(木村氏)。

デジタル・ガバメント統括本部を新設
クラウドベンダーに求められるもの

 日本の政府・自治体のクラウド対応、デジタル化による省力化などは遅れていると言われているが、「先行する諸外国に一気に追いつき、追い越していくような流れを作っていきたい。クラウドアーキテクチャによる革新的な公共サービスの提供、官公庁職員のソーシャルイノベーター人材の育成などを実現したい」(木村氏)と高い目標を掲げている。

 それを実現するために、デジタルガバメントフォーラムの実施や、公共機関内にAI戦略を策定できる人材を育成するAIビジネススクールを、オンラインとセミナーで実施していくことなどを計画している。

組織体制のポイント
公共機関向けAIビジネススクールの提供

 また、地方自治体向けにサービスを提供するのはパートナー経由で行っていくことになるが、昨年発表したNTT西日本との連携、9月4日に発表されたNEC公共IaaSなど、自治体に適したクラウドソリューション提供を行う体制を構築している。

 鍵となるのは自治体に近いデータセンターで、運営はマイクロソフト側が請負ながら、所有者は自治体となる「Microsoft Azure Stack」の活用だ。IaaS環境に関しては自治体に適したAzure Stack活用をマイクロソフトの強みとしていく。

 さらにSaaS、PaaSとクラウドの幅が広い点を競合にはない強みとする。「先進的と言われている英国に比べ日本は7年ほど遅れている。これをクラウド・バイ・デフォルト戦略によって一気に追いつき、さらに世界でも最先端となる政府・自治体とすることを目指したい」(佐藤氏)と、世界でも最先端となるようなデジタル変革実現を目指していく。

NEC公共IaaS