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カスペルスキー、新パートナープログラム「Kaspersky United」を発表

グローバルおよび日本市場のビジネス状況についても説明

 株式会社カスペルスキーは11日、パートナー企業とのエコシステムを強化する新しいパートナープログラム「Kaspersky United(カスペルスキーユナイテッド)」を発表した。10月1日から専用ポータルサイトを開設してパートナー企業の登録受付を開始し、2020年1月1日からプログラムの運用を開始する。

 この発表にあわせて同日に行われた記者会見では、グローバルおよび日本市場におけるビジネス状況について説明するとともに、新たに提供する「Kaspersky United」プログラムの概要を紹介した。

 会見冒頭に登壇した、Kaspersky アジアパシフィック地域担当マネージングディレクターのステファン・ノーマイヤ氏は、まずグローバルのビジネスアップデートについて、「当社は今年6月に『Kaspersky Lab』から『Kaspersky』に社名変更を行い、新たなブランド戦略のもと、ビジュアルアイデンティティも一新した。また、7月には、グローバルなサイバー犯罪に対抗するため、インターポールとの協定を5年間延長することで合意した。そして、8月には、アジアパシフィック地域で初となる『Transparency Center』を、マレーシア・サイバージャヤに開設することを発表した」と述べた。

Kaspersky アジアパシフィック地域担当マネージングディレクターのステファン・ノーマイヤ氏

 日本市場のビジネスについては、「日本は、アジア太平洋地域で最も強力なビジネスとなりつつあり、さらなる成長のポテンシャルを示しつつある。特に、法人事業では、SMBが前年から二けた成長と右肩上がりに改善し、急速な伸びを見せている。また、エンタープライズ向けビジネスが前年から50%と大きく成長しており、主に非エンドポイントのポートフォリオがこれをけん引している」とする。

 また、「今後も、日本をKasperskyのグローバル収益に貢献する国のトップ5に押し上げることを目標に、投資および事業の変革を継続していく」と、さらなるビジネス拡大に意欲を見せた。

 次に、カスペルスキー 代表取締役社長の藤岡健氏が、2019年度上半期(1月~6月)の日本法人のビジネス概況を説明。「2019年上半期の業績は、前年同期比で17%増となった。事業別では、コンシューマ事業が同23%増、法人事業が同14%増となっている。コンシューマ事業については、販売チャネル経由のビジネスが躍進したほか、サブスクリプションモデルの販売を開始したことが成長を後押しした。一方、法人事業は、中小企業向けビジネスが堅調に推移する中で、大手企業向けのサービスビジネスが加速した。特に、IoT機器へのOEM事業が前年同期比30%増と大きく成長している」とした。

カスペルスキー 代表取締役社長の藤岡健氏

 2019年度下半期に向けた重点施策としては、コンシューマ事業では「販売チャネル経由のプロモーションの拡大」、「サブスクリプション・ライセンスの本格展開(Amazon経由での販売を近日開始予定)」、「新製品の販売開始(11月予定)」の3点を挙げた。

 そして、法人事業では、「顧客支援体制の強化(営業/エンジニアの大幅な増員)」と「脅威インテリジェンス・サービスの拡販(トレーニング/プロモーション)」に加え、今回発表した新パートナープログラム「Kaspersky United」によってパートナーとのエコシステムをさらに強化していく方針を示している。

 新パートナープログラム「Kaspersky United」は、カスペルスキーの製品とサービスを販売するパートナー企業向けに、より販売しやすい環境を提供するため、グローバルで展開しているもの。ソフトウェア販売代理店、システムインテグレータ、セキュリティサービスプロバイダ、マネージドサービスプロバイダなど、さまざまなタイプの企業を対象に、中小規模から大規模な顧客まで、あらゆる販売活動を支援するための施策を用意している。

 ステータスレベルは、年間売上金額やセールス・技術の認定取得者数などに応じて「Registered」「Silver」「Gold」「Platinum」の4段階に分かれており、要件を満たすことでステータスごとに設定されたリベート、セールスパフォーマンスインセンティブファンド(SPIF)、マーケティングディベロップメントファンド(MDF)などのベネフィットを得ることができるという。また、それぞれのレベルに必要な販売金額に達すると、上位のステータスに移行することが可能となる。

新パートナープログラム「Kaspersky United」の概略図

 カスペルスキー パートナー営業本部長の佐藤輝幸氏は、日本市場で「Kaspersky United」プログラムを展開する背景について、「法人事業では現在、ビジネスパートナー担当部門を増員し、きめ細やかな支援体制を確立するとともに、大手企業向けのハイタッチ営業部門を新設するなど、営業体制の強化を進めている。これにともない、拡販を推進する基盤となるパートナープログラムについても見直しを行い、販売体系に応じたプログラムとサポートを提供していく必要があると考え、『Kaspersky United』のリリースを決定した」としている。

カスペルスキー パートナー営業本部長の佐藤輝幸氏

 具体的な支援内容としては、パートナーが収益を確保するための基本プログラムとして、リベート、セールスパフォーマンスインセンティブファンド(SPIF)、マーケティングディベロップメントファンド(MDF)、案件登録、スペシャルプロジェクトプライスなどを提供する。また、各パートナー企業の得意分野を生かし、特定のソリューション、サービス分野に特化した専門知識を活用して差別化提案が行える「スペシャライゼーションプログラム」も用意。一定の要件を満たすことで、リベートやマーケティングに関する追加支援を得ることができる。

 現時点で対象となるソリューションとサービスは、「Hybrid Cloud Security」、「Threat Management and Defense」、「Threat Intelligence」、「Industrial Cybersecurity」の4つで、トレーニングコースも用意している。

「Kaspersky United」のプログラム内容

 パートナーの技術者育成支援・営業支援としては、顧客の複雑なセキュリティの課題を解決するためのスキルと知識が得られるよう、各種トレーニングを無償で提供する。これにより、同社のDNAであるサイバーセキュリティの専門知識を習得できる。さらに、案件登録や各種申請、実績を確認することができるワンストップの日本語専用ポータルサイトを用意。見積もり用のツールやオンライントレーニングもポータル内で利用することができる。

 「また今回、日本での『Kaspersky United』の運用開始にあたり、日本独自のプロモーションやキャンペーンも展開していく。その一環として、2020年1月1日から、法人向けエンドポイントセキュリティの最上位統合プラットフォーム『Kaspersky Endpoint Security for Business Advanced』と、法人向け脆弱性およびパッチ管理用セキュリティ製品『Kaspersky Vulnerability and Patch Management』の価格改定を実施する」(佐藤氏)という。

 参考価格(税別)は、「Kaspersky Endpoint Security for Business Advanced」の1年新規購入数量100ライセンス(現行価格217万6000円)が新価格103万3000円、「Kaspersky Vulnerability and Patch Management」の1年新規購入数量100ライセンス(現行価格91万3000円)が新価格51万6000円となる。なお、Kaspersky Unitedローンチ記念キャンペーンとして、10月1日から先行して新しい販売価格に基づき提供を開始する。

 このほかにも、日本独自のプロモーション・キャンペーンとして、「登録パートナー向け『Kaspersky Unitedカード』の進呈」、「『Kaspersky Endpoint Security for Business Select』ユーザー向けAdvanceアップグレード」、「複数年契約で通常価格よりも安価での契約・更新が可能」、「企業向け脅威レポート無償トライアル」、「MSPサービスビジネススターターモデル」などを計画している。

 「Kaspersky United」プログラムは、2020年1月1日から運用を開始し、同年3月までに1000社の登録を目指す。