ニュース

カスペルスキー、新社長・藤岡健氏のもとで法人事業を大幅強化

 株式会社カスペルスキーは14日、2019年1月1日付で代表取締役社長に藤岡健氏が就任したことなどを受け、事業方針説明会を開催した。

 藤岡氏は、「向こう3年で、コンシューマ事業、法人事業トータルで売上規模を2.5倍とすることを目指し、そのためのソリューション拡充を行っていく」と述べ、売上拡大する方針をアピールした。

カスペルスキー 代表取締役社長の藤岡健氏

 特に法人事業では、新たなパートナープログラムの実施や、大企業向けハイタッチ営業の新設、SMBのパートナーセールスの強化などを実施。技術支援、マーケティングも含めて大幅に強化することで、3倍の売上を目指すという。

 カスペルスキーの新社長となった藤岡氏は、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジー、ソニックウォール・ジャパンといったセキュリティ企業の日本法人トップを経験し、この分野でビジネスを行ってきた経験を持つ。

 その経験から、「カスペルスキーの持っているナレッジや、日本未導入の製品提供などを行うことで、日本でトップのセキュリティベンダーという位置づけを目指せると考えている」と述べ、同社の持つポテンシャルを生かしたビジネス拡大に自信を見せた。

 なお、カスペルスキーは本社がロシアで立ち上げられたことから、米国において“スパイ”とのレッテルを張られたというが、「そういったことは一切行っていない。われわれがそう主張するだけでなく、第三者である監査法人にきちんと監査を受け、結果を発表してもらうなど、透明性のある体制を築いていく。ある国の軍隊に導入された際には、ソースコードレビューの依頼があり、ヘッドクォーターに来てもらって1週間、確認作業をしてもらった上で導入となった」と透明性を持ってユーザーの信頼を獲得していく姿勢をアピールした。

透明性への取り組みを実施している

 コンシューマ事業に関しては、(1)高機能な新製品を投入するなど、製品ラインアップの拡充、(2)オンラインおよびオフラインでの情報発信を拡充するなど、ブランドマーケティングを強化し、お客さま視点での情報発信を行う、(3)低価格な月額料金で利用できる、サブスクリプションビジネスを推進し、体験を通したブランド価値を浸透し、新規ユーザーのトライアル機会を創出――、の3点を強化ポイントとして挙げる。

 2015年時点と比較し、2018年の売上規模は1.6倍と順調に成長しているが、3年後にはさらに売上2.5倍を目指すという。

2015年比で売上は1.6倍に成長しているが、さらに3年後には2.5倍を目指すという

法人事業を3倍に拡大するための施策

 法人事業は、3倍に拡大することを目指しているが、それを実現するために、SMB市場向けにはパートナーとの協業によるMSPビジネス展開を支援するとのことで、パートナー自身が管理するサービス、カスペルスキーが管理するサービスの両面で対応していく。

 エンタープライズ市場向けには脅威別に細分化された製品サービスの投入、複雑化・高度化する脅威に対抗するための人材プログラムの提供など、高度なサイバー脅威に対抗できるソリューションを展開する。

 「グローバルではすでに教育、サポートなどを実施しているが、日本でも教育プログラムを提供。提供形態としてもセミナー型、クラスルーム型など複数を用意する予定」(藤岡氏)という。

 xSP・IoT市場向けにはアドオンサービスの共同開発、社会インフラおよびネットワーク機器など関連機器へのOEMパートナーは、事業のさらなる推進などをサブスクリプションでの展開とともに進める。

 また、ビジネスパートナーとのエコシステムを強化するために、新しいパートナープログラムを提供する。ソリューション分野、サービス分野ごとのトレーニングプログラムと認定制度を用意する考えで、「パートナーの皆さまに、もっともうかってもらうための仕組みを提供する」(カスペルスキー 専務取締役 宮橋一郎氏)とした。

 カスペルスキー側の法人ビジネスを行うための組織についても、体制を刷新して強化する。大手企業向けのハイタッチセールスの新設、SMBパートナーセールス、トレーニングプログラムの提供などとあわせ、技術支援体制を強化する。

新しいパートナープログラム
体制刷新と強化

 Kaspersky Labの研究開発部門については、日本にGReAT、脅威リサーチ部門を日本にも開設。情報セキュリティラボとして、高度な脅威の解析と報告、国内のインシデント対応支援、国内サイトの汚染調査と報告、啓発活動、セキュリティサービスのデリバーなども行っていく。

 法人向けマーケティング体制としても、プロダクトマーケティング、チャネル/フィールドマーケティングなどを展開する。

 「法人ビジネスを初めて日が浅いので、そんなことができるのか?と思われる方もいるかもしれないが、体制を強化して売上3倍を目指していく」(宮橋氏)。