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NTTドコモ、ノキア、オムロン、製造現場における5G活用実証実験を実施

人手不足や熟練工不足など製造業の課題解決に向けて協働

 株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)、ノキアグループ(以下、ノキア)、オムロン株式会社は10日、工場などの製造現場における第5世代移動通信方式(以下、5G)を活用した共同実証実験を実施することに合意したと発表した。

 実証実験を通じて、高速・大容量、低遅延、同時多接続といった5Gの有用性と可能性を共同で評価し、製造業が直面する課題の解決と、将来の製造現場で求められる通信技術の発展を目指す。

 3社では、製造業においては熟練工不足や多品種少量生産などの課題解決に向け、IoTによるデータを活用した生産性向上の取り組みが進んでおり、通信の無線化に対する要求が高まっているが、工場で既存の無線通信を使用するには、人やモノが動くことによる環境変化や、さまざまな機器から発信されるノイズなどの影響が多く、安定的で信頼性の高い無線品質を確保するためには、さまざまな検証が必要になると説明。

 実証実験で活用する5Gは、高速・大容量、低遅延、多数端末の同時接続を特徴としており、実証実験では工場内での5G電波測定と伝送実験、5Gを活用した人と機械の協調による生産性向上に向けた取り組みを行うとしている。

 実証実験を通して目指すユースケースとしては、生産ラインのレイアウト変更や立ち上げを、需要の変動に合わせてフレキシブルかつスピーディに行える「レイアウトフリー生産ライン」を挙げている。5Gの大容量、低遅延といった特徴を生かし、生産設備を無線ネットワーク化するとともに、オムロンの自動搬送ロボット(AMR: Autonomous Mobile Robots)を組み合わせることで、工程ごとに切り離したレイアウトフリーな生産ラインの実現を目指す。

レイアウトフリー生産ラインのイメージ

 また、作業者の生産性の向上や早期育成に向けた「AI/IoTによるリアルタイムコーチング」では、5Gの大容量・高速性を生かして、製造設備のデータや作業者の作業動線や動きを撮影した映像データなどを収集してAIで解析し、熟練者との違いを作業者へリアルタイムにフィードバックすることで、生産性の向上と早期習熟をサポートし、モチベーションを向上させるような新たな人と機械の協調を目指す。

作業者の動作解析イメージ

 実証実験において、ドコモは5G装置を活用した実証実験の実施に関わる技術的知見を提供、ノキアは5G基地局を含むプラットフォームの提供と、ノキアベル研究所の先端技術や知見を提供、オムロンはファクトリーオートメーション機器および制御技術や製造業における知見、自社工場での実験環境の提供を行う。