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東工大、GPUを採用したVDIシステムを導入 遠隔からのスパコン「TSUBAME3.0」利活用を拡大

 東京工業大学(東工大)は22日、GPUを利用したVDI(仮想デスクトップ)システムを、国内に先駆けて導入したと発表した。このVDIシステムは、同大学 学術国際情報センターのスーパーコンピュータ(スパコン)「TSUBAME3.0」と同じ建物内に設置され、スパコンとVDIシステムが連携することにより、スパコン利用者の利便性を向上させるという。

 今回導入するVDI環境は、「AMD EPYC」プロセッサ(32コア)を2基、「NVIDIA V100 Tensor Core GPU」を3基搭載したサーバーを合計5台利用しており、最大240人のユーザーに、ワークステーションクラスの仮想デスクトップ環境を提供可能。VDIは、ネットワーク経由で画面イメージのみを転送する仕組みのため、ユーザーの手元にあるPCやタブレットなどの機種、性能に依存せず、スパコンを高性能ワークステーションから接続しているような感覚で利用できるとした。

 また、TSUBAME3.0の大容量ストレージ上にある大規模シミュレーションなどで生成された膨大なデータをダウンロードすることなく、仮想デスクトップ内で計算結果の確認、可視化やデータ処理を行えるようになるため、データの移動が最小化される。これにより、研究室や学内のネットワーク環境だけでなく、遠隔地からもストレスなくスパコンが利用可能になるほか、セキュリティの観点からも安全性が向上するとした。

 なお、同大学の物質・情報卓越教育院では、スパコンを用いた教育を行うため、学術国際情報センターと連携し、TSUBAME3.0を利用した物質・情報の演習において、VDIシステムを利用するとのこと。さらに年内をめどに、TSUBAMEの学内利用、学外利用、産業利用へと順次展開して行く予定としている。

 なおシステムは、ネットワークインターフェイスとしてMarvell Semiconductor製の「FastLinQ 100G NIC」、または「同 25G NIC」を搭載するほか、仮想GPUソフトウェアには「NVIDIA GRID Quadro 仮想データセンター ワークステーション(Quadro vDWS)」を、仮想化ソフトウェアには「VMware vSphere」を、VDIソフトウェアには「VMware Horizon」をそれぞれ採用している。また、バックアップ製品として「Veeam Backup & Replication」を利用しているとのこと。

 なおQuadro vDWSでは、サーバーに搭載されたGPUを「NVIDIA 仮想 GPUテクノロジ」により仮想化することで、複数の仮想マシンにGPUの性能を与えることが可能になる。これにより、従来はVDI化が困難だったCAD、CAE、BIM、コンテンツ制作、医用画像といったグラフィックスアプリケーションやシミュレーション、深層学習(ディープラーニング)といったコンピューティングアプリケーションを、ローカルのワークステーションのように高い性能で利用できるようになるとのことだ。