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理研、富士通などの研究グループ、AIを用いた超音波検査における影の自動検出技術を開発

 富士通株式会社は26日、理化学研究所(理研)や昭和大学、国立がん研究センターなどによる共同研究グループが、超音波検査に人工知能(AI)技術を適用する上で、大きな課題の一つである「影」の検出に関して、効率的な新技術を開発したと発表した。

 共同研究グループのメンバーは、理研革新知能統合研究センター(AIP)がん探索医療研究チームの小松正明研究員や、株式会社富士通研究所代表取締役副社長で理研AIP-富士通連携センターの原裕貴副連携センター長、昭和大学医学部産婦人科学講座の松岡隆准教授、国立がん研究センター研究所がん分子修飾制御学分野の浜本隆二分野長など。

 共同研究グループでは、機械学習の一つである深層学習(ディープラーニング)によるラベルなしデータでの学習により、超音波検査における影を自動検出する新手法を開発した。

 超音波検査では、超音波ビームが骨などの構造物に反射し、それより遠い場所の画像情報を取得できないために、その箇所が影として映ることがある。これは「音響陰影」と呼ばれ、画像の質を劣化させるだけでなく、検査そのものの精度を著しく低下させる最大の原因となるという。

 今回開発した手法は、従来手法に比べて高精度に影を検出できることが確認され、ラベルなしデータで学習することから、技術を実装する労力が大幅に削減されるというメリットがある。

 研究グループでは、この研究成果により、超音波画像に映り込んだ影が異常検知に与える影響を自動的に評価できるようになり、胎児心臓超音波スクリーニング技術の臨床応用に向けた研究がさらに前進したとしている。また、研究については、医用画像へのディープラーニング技術適用に関する国際学会であるMIDL 2019(the 2nd International Conference on Medical Imaging with Deep Learning)で発表した。