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NEC、AIを用いた創薬事業に本格参入 2025年に事業価値3000億円を目指す

 日本電気株式会社(以下、NEC)は27日、同社のAI技術群「NEC the WISE」を活用し、がんなどの先進的免疫治療法に特化した創薬事業に本格参入すると発表した。

 NECではこれまでも、がんの創薬研究に高知大学や山口大学と取り組んできた実績があるが、こうした領域では、近年、ゲノム解析技術の発展により、AIによる膨大なデータ処理が求められてきたという。そこで同社は、最先端のAIを創薬分野に活用し、より安全で効果の高い先進的免疫治療法の開発を行うことにより、創薬事業の事業価値を、2025年に30000億円まで高めることを目指すとしている。

 創薬事業の第1弾としては、パートナーである仏Transgene SAと共同で、頭頸部がんと卵巣がん向けの個別化ネオアンチゲンワクチンの臨床試験(治験)を、日本企業で初めて開始するとのこと。2019年4月に、米国FDAから本治験実施の許可を取得しているほか、イギリスとフランスで申請中という。なお今回の治験薬は、NECとTransgeneが共同開発する。

 ワクチン開発の鍵となる、患者ごとに特異的なネオアンチゲンの選定には、NECが開発した「グラフベース関係性学習」を活用した、ネオアンチゲン予測システムを採用した。このAIエンジンでは、NECが独自に蓄積してきたMHC結合活性の実験データによる学習に加え、ネオアンチゲンの多面的な項目を総合評価して、患者それぞれが持つ多数の候補の中から、有望なネオアンチゲンを選定することができるとのこと。