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住友ゴムとNEC、タイヤ開発における匠のノウハウをAI化 開発の効率化やノウハウの継承などを可能に

 住友ゴム工業株式会社(以下、住友ゴム)と日本電気株式会社(以下、NEC)は15日、タイヤ開発における匠(熟練設計者)のノウハウのAI化に成功したと発表した。

 タイヤ開発における官能評価では、従来、究極の完成度を求めてテストドライバーの定性的な評価に擬音が使われることがあり、同じ現象でもドライバーによって表現が異なることがあったという。また、官能評価の解読には経験・ノウハウが必要で、評価結果から改良案を導くノウハウが熟練設計者に集中していたとのこと。

 このように、官能評価の解釈は熟練の設計者とテストドライバーのコミュニケーションにより成り立っており、これまで体系化が非常に困難な領域だったが、今回、住友ゴムの熟練設計者とNECのデータサイエンティストが共同で、テストドライバーの定性評価を項目化し、評価を読み解く経験・ノウハウを体系化したAIの学習データへ加工した。

 また熟練設計者は、過去に開発したタイヤの官能評価を項目分けした体系化データを作成するとともに、結果にひも付く改良案も体系化して、官能評価の解釈および改良案考案のAI化を実現した。このように、これまではOJTによる属人的な伝承が中心だった匠の思考プロセスを見える化することで、経験が浅い設計者への改良案考案過程やノウハウなどの技能伝承も可能にするとしている。

 なお住友ゴムとNECでは、こうして、AIによって答えを出すだけではなく、匠の思考プロセスを見える化することで、若手設計者の理解を深め技能伝承をスムーズに行えるよう、グラフAI技術も活用する考えである。