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セキュリティソリューションに対する世界全体の支出額、2019年には1031億ドルに到達~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は4日、世界全体のセキュリティソリューション市場の支出額予測「IDC Worldwide Semiannual Security Spending Guide」を発表した。セキュリティ関連のハードウェア、ソフトウェア、サービスに対する世界の支出額は、2019年は前年比9.4%増の1031億ドル、予測期間(2018年~2022年)中の年間平均成長率は9.2%で、2022年には総額1338億ドルに達すると予測している。

 2019年には、セキュリティソリューションへの支出額が最も多いと予測される上位3つの業界(銀行、組み立て製造業、連邦/中央政府)を合わせた支出額は300億ドル以上になり、その他の3つの業界(プロセス製造業、専門サービス、通信)の支出額はいずれも60億ドルを超えると予測する。

 予測期間中に成長率が最も高いと予測される業界としては、州/地方政府(年間平均成長率11.9%)、通信(同11.8%)、資源産業(同11.3%)を挙げている。こうした支出の伸びを背景に、2022年には通信業界がセキュリティ支出額で4番目に大きい業界となり、地方自治体が専門サービス業界を追い抜いて6位に浮上すると予測している。

 米IDC Customer Insights & Analysis バイスプレジデントのジェシカ・ゴエプファート氏は、「セキュリティ支出額が大きく成長率が高い業界を上位から検証していくと、銀行や官庁など、規制のある環境で機密性の高い情報を保護する責任を負った業界が中心になっていることが分かります。さらに、専門サービス会社や通信事業者など、情報ベースの企業による支出が急速に伸びています。ただし、セキュリティへの投資は、業界を問わず実質的にすべての企業で優先度が高いことに変わりはありません。どんなビジネスにも安心感は欠かせないからです」と述べている。

 技術カテゴリー別では、2019年に最大の支出が見込まれるのはマネージドセキュリティサービスで、24時間体制の監視とセキュリティオペレーションセンターの管理に210億ドル以上が費やされると予測。上位5つの業界でも、マネージドセキュリティサービスが2019年に最大のカテゴリーになる見通しだと説明。2番目に大きい技術カテゴリーは、UTM(統合脅威管理)、ファイアウォール、IDS/IPS(侵入検知/防止)のテクノロジーが含まれるネットワークセキュリティハードウェアで、3番目と4番目に大きい投資カテゴリーは、インテグレーションサービスおよびエンドポイントセキュリティソフトウェアと予測している。

 予測期間中に、最も高い成長率が見込まれる技術カテゴリーとしては、マネージドセキュリティサービス(年間平均成長率14.2%)、セキュリティアナリティクス/インテリジェンス/レスポンス/オーケストレーションソフトウェア(同10.6%)、ネットワークセキュリティソフトウェア(同9.3%)を挙げている。

 地域別では、セキュリティソリューションの最大の市場は米国で、2019年の支出額は447億ドルに達すると予測。そのうち、組み立て製造業と連邦政府の2つが、米国における総支出額の20%近くを占める見通としている。2番目に大きい市場は中国で、省/地方政府、通信、中央政府の3つが総支出額の45%を占めると予測。これら2カ国に次いでセキュリティ支出額が大きい市場は日本および英国で、それぞれ消費者部門と銀行業界がリードする形となると予測している。

 企業の規模別では、2019年にはセキュリティ関連の全支出額のうち約3分の2が大企業(従業員500~1000人)および超大企業(従業員1000人以上)によるものと予測。予測期間中の年間平均成長率は、大企業は11.1%、超大企業は9.4%となり、この2つのセグメントが予測期間中に最も高い成長率が見込まれるとしている。

 また、中規模企業(従業員100~499人)および小規模企業(従業員10~99人)による2019年のセキュリティソリューションへの支出額は約260億ドルと見込んでおり、消費者による2019年のセキュリティ支出額は約57億ドルと予測している。