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富士通研究所、高効率な分散並列処理でディープラーニングを高速化する技術を開発

 株式会社富士通研究所は1日、高効率な分散並列処理により、ディープラーニング(深層学習)ソフトウェアを高速化する技術を開発したと発表した。国立研究開発法人産業技術総合研究所に富士通株式会社が導入した「AI橋渡しクラウド(AI Bridging Cloud Infrastructure:ABCI)」を利用し、学習に要する時間を測定したところ、世界最高速を達成したという。

 富士通研究所では、これまでにHPC開発で培った技術にもとづき、ディープラーニングの学習の進ちょく度に応じて学習強度を適切に調整することにより、学習精度を低下させずに1GPUあたりの計算量を拡張する技術を開発し、高効率な分散並列処理を実現した。

 なお、ディープラーニングの処理速度を測定するためのベンチマークとしては、一般的に、画像認識のディープニューラルネットワークであるResNet-50において、画像認識精度を競うコンテスト「ILSVRC2012」での画像データを利用した学習時間で比較されているとのこと。

 富士通研究所でも、オープンソースのディープラーニングソフトウェアに今回開発した技術を適用し、ABCIの2048個のGPUを利用してこのベンチマーク測定を行った結果、従来の最速記録を30秒以上短縮する、74.7秒で学習が完了することを確認したとしている。

 同研究所は今後、ディープラーニングのさらなる高速化を検討するとともに、開発技術を富士通のサーバーやスーパーコンピュータに適用し、実用化を目指す考えだ。