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シスコ、「Data Center Anywhere」ビジョンを実現する新しいアーキテクチャを発表

Cisco ACIをパブリッククラウドへ拡張、エッジ向けHCIソリューションなど

 シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は6日、SDNソリューション「Cisco ACI(Application Centric Infrastructure)」のパブリッククラウドへの拡張と、HCIソリューション「Cisco HyperFlex」のより小規模な環境向けの製品構成、クラウド・システム管理製品「Cisco CloudCenter Suite」の強化を発表した。

 シスコではこれらの製品は、データが存在し、アプリケーションが展開されるあらゆる場所にデータセンターを拡張する「Data Center Anywhere」ビジョンを実現する、新たなアーキテクチャになるとしている。

 Cisco ACIは、ネットワーク機器の構成定義を抽象化してポリシーとして規定し、ポリシーを組み合わせたプロファイルをスイッチなどに適用することで、物理・仮想のネットワークを容易に構築できる、データセンター向けSDNソリューション。

 シスコでは、「ACI Anyware」として、今後はACIをあらゆるワークロード、あらゆるロケーション、あらゆるクラウドに拡張していくと説明。すでにベアメタルクラウドやリモートエッジロケーションには「Virtual ACI」が対応しているが、新たにパブリッククラウドにも対応する「Cloud ACI」を追加。これにより、パブリッククラウド環境でもオンプレミスと同じようなポリシーの適用を可能とする。

 パブリッククラウド環境でのネットワークの制御については、各クラウドベンダーが提供する機能と連携する形で実現。対応サービスについては、当初はAmazon Web Services(AWS)とMicrosoft Azureで、Google Cloud Platform(GCP)についても今後対応予定としている。Cloud ACIは2019年第2四半期中に提供を開始する予定。

Cisco ACIをパブリッククラウドへ拡張

 HCIソリューションのCisco HyperFlexについては、小規模向け、クラウド管理型の「HyperFlex Edge」を提供。従来は最小構成が3ノードクラスタだったが、クラウド型監視サービスのCisco Intersightを利用することにより最小2ノード構成とした。より小さいサイズからHCIを始められ、ブランチオフィスやリモートサイトなどの小規模、多拠点環境でも利用できるとしている。HyperFlex Edgeの2ノード構成は、2019年第2四半期中に提供を開始する予定。

HyperFlex Edgeは最小2ノードクラスタから利用可能に
HyperFlex Edge C220 M5

 Cisco CloudCenter Suiteは、シスコが2016年に買収したCliQrの製品をベースにした、マルチクラウドのマネージメントツール。新たに提供する製品では、アプリケーションのライフサイクル全体の管理に必要な機能を搭載し、ワークフローの自動化をさらに進めると同時に、コストの最適化やガバナンス機能を強化。また、導入をシンプル化し、段階的な料金設定にするとともに、SaaS型での提供も行う。提供開始時期は、オンプレミス版が2019年第1四半期、SaaS版は日本では2019年第2四半期以降の予定。

CloudCenter Suiteを強化

 米Ciscoシニアディレクターのトッド・ブラノン氏は、「アプリケーションは進化しており、ワークロードはすでに分散しているが、データについても分散化が進む」と説明。現場で発生するデータをその場で処理する必要性が拡大しており、企業のデータセンターやプライベートクラウド、パブリッククラウド、IoTエッジ、5G通信事業者のエッジなど、「データセンターはデータが存在するあらゆる場所へ拡大する」とした。

 今回の新製品は、こうした「Data Center Anywhere」ビジョンに基づくもので、シスコでは、オンプレミスデータセンターに対してクラウドと同様の使い勝手を実現するソリューションを提供しているが、こうしたソリューションをさらにエッジ側に拡張するとともに、マルチクラウド環境に対しても一貫した環境を提供するものになるとした。

「データセンターはデータが存在するあらゆる場所へ拡大」していくという「Data Center Anywhere」ビジョン