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渋谷区、富士通のパッケージをベースに「電子決裁・文書管理システム」を構築

公文書管理の電子化と100%電子決裁を推進

 富士通株式会社は4日、渋谷区(東京都)において、「電子決裁・文書管理システム」を構築したと発表した。同システムは4月からの本格運用開始に向け、2月1日より順次稼働を開始しているという。

 渋谷区では、2019年1月の庁舎移転とそれに伴うICT基盤の整備を契機に、迅速な意思決定を実現する電子決裁を含めた、公文書管理プロセスの電子化を実施するために、「電子決裁・文書管理システム」を構築した。

 この導入にあたり渋谷区は、紙をベースとしてきた従来の公文書業務プロセスを組織横断で見直し、公文書の収受から起案、決裁、保管、廃棄までを一貫して電子的に行うルールや、事務手続きや添付書類の取り扱いなど、全庁統一の公文書管理基準を策定。電子化をベースとする公文書管理プロセス改革を行った。

 そして、この新たなプロセスを支えるため、「電子決裁・文書管理システム」と既存の財務会計システムとを連携させ、財務会計決裁を含めた電子決裁化を実現。職員だけでなく、区長や副区長などの特別職にも研修を実施するなど、新たな公文書管理業務を定着させるための取り組みを行っている。

 こうして決済が電子化された結果、従来の紙媒体での決裁では、最多で十数カ所におよぶ決裁手続きなどにおいて、決裁箱にとどまる時間や持ち回る手間がかかっていたが、決裁の迅速化と業務効率化が可能になるという。また、複数の決裁者に対し並行して決裁処理を進められる運用にしたことで、意思決定も迅速化された。

 渋谷区では、新システムによって公文書の収受から起案、決裁、保管、廃棄までの適切な管理と分類を行い、公文書のライフサイクルを一元管理するとともに、ペーパーレス化を推進。電子化できない添付公文書についても、添付公文書ごとの廃棄時期を明示した簿冊ラベルの情報をこのシステムで管理し、保管・廃棄を適正かつ確実に実施するとしている。

 なお、システムのベースとしては、富士通のパッケージソリューション「FUJITSU 公共ソリューション IPKNOWLEDGE V3」(以下、IPK)を採用した。「IPK」は、自治体における公文書の収受から起案、決裁、保管、廃棄までの公文書プロセスを網羅し、決裁履歴管理機能や、電子付せん、効果・分析機能などを標準装備しており、これらの機能を利用することで、カスタマイズすることなく短期間で、渋谷区のほぼすべての公文書管理プロセスの電子化を実現したとしている。