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日本オラクル、ERPクラウド事業の最新動向について説明 AIを組み込んだ業務アプリケーションの新機能を紹介
2018年11月15日 06:00
日本オラクル株式会社は、米国サンフランシスコで10月に開催された「Oracle OpenWorld 2018」を受け、ERPクラウド事業の最新動向に関する説明会を11月14日に開催した。当日は、「Oracle OpenWorld2018」のフィードバックとして、AIを組み込んだ最新のクラウドアプリケーション戦略やERP/EPM Cloudにおいて新たに提供するAI機能の概要などについて説明した。
冒頭であいさつした日本オラクル 常務執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括 ERP/EPMクラウド事業本部長の桐生卓氏は、「Oracle OpenWorld2018」の印象について、「今回のカンファレンスでの業務アプリケーション領域に関する発表は非常にわかりやすく、業務アプリケーションにAIや機械学習のテクノロジーを組み込んだ点が大きな柱となっていた。また、すでに世界85カ国、23の業界の5500以上の企業に『ERP Cloud』が採用されていることから、基調講演でも競合メーカーとの比較はほとんどなく、リーディングベンダーとしての戦略発表にフォーカスしていた」と語った。
クラウド戦略を推進する背景については、「従来のオンプレミス型のアプリケーションは、5年サイクルでアップデートを行っており、顧客企業が機能拡張を業務に取り込むまでに時間がかかっていた。新たなテクノロジーの出現によりビジネス環境が激変する中で、これでは顧客企業のビジネス展開の足かせになる可能性がある。一方、クラウドアプリケーションでは、四半期の一度のアップデートを行うことで、新しい機能やテクノロジーを短サイクルで導入することができる。また、顧客企業からの要望も短期間でフィードバックすることが可能になる」とした。
「今回、業務アプリケーションにAIを組み込んだが、これによって企業のビジネススタイルも大きく変わると見ている。例えば、『ルールベース』だった業務が『モデルドリブン』に、『マニュアル』だった業務が『自動化』に、『静的』だった業務が『状況に即した』ものに、『ユーザーベース』だった業務が『AIによるリコメンドとアラート』へと変わっていく。そして、AIが組み込まれたクラウドアプリケーションを活用することで、企業は、ERP、HCM、SCM、CXのすべて領域において、大幅な業務効率化と品質向上を図ることができる」と、AIを業務活用することによるメリットを訴えた。
新たに組み込まれる3つのAI関連テクノロジー
「Oracle OpenWorld2018」で発表されたAI機能の概要については、日本オラクル クラウド・アプリケーション事業統括 ビジネス開発本部 SCM/ERP/EPM担当ディレクターの中島透氏が説明した。
まず、新たに組み込まれるAI関連テクノロジーとして、「ADAPTIVE INTELLIGENT APPS」「INTELLIGENT UX」「CONVERSATIONAL AGENTS」の3つを紹介。
「ADAPTIVE INTELLIGENT APPS」は、AIによるインテリジェントな分析ツールを組み込んだアプリケーション。「CONVERSATIONAL AGENTS」は、ボット技術を使った音声認識および語意分析のエージェント。「INTELLIGENT UX」は、ユーザーにAI機能を使いやすくするためのインターフェイスだと、それぞれを説明する。
「これらのテクノロジーによって、対象となるユーザーを特定し、知っておくべきことを動的に提示する。また、次に起こりそうなことを予測し、リコメンドするとともに、取るべきアクションをナビゲートすることが可能となる」という。
具体的なAIの新機能としては、ERP/EPM Cloudでは、「Intelligent Payments」「Supplier Recommendations」「Expenses Chatbot」をピックアップ。
「Intelligent Payments」は、AIにより請求書の早期支払いによる割引と金利を提案する機能で、「Dynamic Discounting」の製品名で提供される。
「Supplier Recommendations」は、AIがサプライヤーのパフォーマンスを継続的に把握し、取引機会を与えリスクを洗い出す機能。全体的なサプライヤーポートフォリオを最適化するために、サプライヤーをインテリジェントにランク付け・分類し、案件に応じて最善のサプライヤーを提案する。
「Expenses Chatbot」は、音声対話エージェントを利用し、より洗練されたアプリケーション活用を支援する機能。「例えば、領収書のイメージを取り込む際にAIがサポートを行い、経費の費目をAIが自動的に分類する。また、分類された費目がコンプライアンス・ポリシーに即しているかをAIが照合し、承認の可否をコントロールすることもできる」としている。
このほかに、会計業務の照合処理をインテリジェントに自動化する「Account Reconciliation」や、AIが隠れた相関関係を顕在化し、データに基づく計画や予測を実施する「Adaptive Intelligent Planning」の機能概要についても紹介した。
また、SCM Cloudで提供する新機能についても触れ、「サプライチェーン領域では、AIに加えて、IoTおよびブロックチェーンの機能も拡充した。
IoTの新機能としては、顧客の資産管理を支援するIoTアプリケーション『Service Monitoring』を提供する。
ブロックチェーンについては、『Oracle Blockchain Applications』として、『Intelligent Track and Trace』、『Lot Lineage and Provenance』、『Intelligent Cold Chain』、『Warranty and Usage Tracking』の4つのアプリケーションを近日リリースする予定だ」と説明した。
ブロックチェーンの新たなアプリケーション「Intelligent Track and Trace」は、拠点や部門間の取引、資産または商品の移動を監視する機能。「Lot Lineage and Provenance」は、製品コンポーネントのトレーサビリティやシリアライゼーションに対応する機能。「Intelligent Cold Chain」は、食品と医薬品に関する、安全管理のための包括的なトレーサビリティを行う機能。「Warranty and Usage Tracking」は、高価値資産の状況を監視し、レンタル・保証・サービス・保険・製品の使用状況をトラッキングする機能となっている。