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Clouderaとの合併後もOSSへの投資は継続していく――、ホートンワークス廣川社長

 ホートンワークスジャパン株式会社は16日、同社 執行役員社長 廣川裕司氏および、米Hortonworks CTO スコット・ナウ氏が参加し、同社の事業戦略やオープン ハイブリッド アーキテクチャ イニシャティブのビジョンに関する記者説明会を開催した。

 10月3日(米国時間)に、HortonworksとClouderaの合併が発表され、両社の今後の事業戦略が注目されているが、両社の合併による効果について廣川氏は、「これまで当社は、OSS開発コミュニティとユーザーパートナーを繋いできた。今後もOSS開発コミュニティをClouderaと一緒に大きくしていく。その結果、両社の従業員・株主にとってのWIN、両社のユーザーやプロスペクト(顧客となる予定のユーザー)にとってWIN、両社のパートナーにとってのWIN、そしてOSS開発コミュニティにとってもWINとなり、合計で4つのWINとなる」と説明した。

ホートンワークス ジャパン 執行役員社長 廣川裕司氏
HortonworksとClouderaの合併による4つのWIN

 これまでHortonworksは、完全なOSSをパッケージ化したプロダクトを提供することを特徴としてきた。そのため、OSS開発コミュニティへの投資は、Hortonworks自身のプロダクトに対する投資となっており、在籍しているコミッターの数やコミット数から見ても、その貢献度は群を抜いている。

 もちろん、ClouderaもOSSコミュニティには多くの投資を行っているが、一方でデータウェアハウジングやAI/機械学習など「独自」のツールも提供しており、よりビジネスの課題を解決するソリューションを展開してきた。

 このような違いによって、両社のプロダクトは相互補完関係にあり、市場機会を拡大していくことができるという。

 廣川氏は「両社のプラットフォームを統一し、EdgeからAIまでの業界標準を確立する。次世代のエンタープライズデータプラットフォームを提供していく」と述べた。

 合併の発表以降もホートンワークスジャパンは積極的にプレスリリースを発表しており、10月15日にはNECとNECの次世代イノベーションプラットフォーム「SX-Aurora TSUBASA」上で、AI処理にも利用可能なビッグデータ向け高速分析プラットフォームの共同開発を発表した。

 翌10月16日には、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)がHortonworksのコネクティッド・データプラットフォームを採用したことを発表している。

 廣川氏は「今後もOSS開発コミュニティへの積極的な投資は継続することで両社は合意している。また、今後は両社のプロダクトが統合されていくが、3年間はHortonworksのプロダクトをそのまま使い続けることができるため、ユーザーは自分たちのタイミングで次世代のプラットフォームに移行できる」と説明した。

Hortonworksのコネクティッド・データプラットフォーム。データの収集・フォロー管理を行う「HPF」、データの蓄積や分析を行う「HDP」、データの管理・保護・統制を行う「DPS」、これらのデータのセキュリティを担保する「HCP」によって構成される

 また、Hortonworksの次世代データプラットフォームについては、ナウCTOが説明した。

 ナウCTOは、「産業革命以来のビジネスモデルのトランスフォーメーションが起こっている現状において、ビジネスバリューを高めるためには、オンプレミス、マルチクラウド、エッジで構成されるハイブリッドデータアーキテクチャが必要になる。また、モバイルデバイスの処理性能は向上し、デバイス上でデータ分析ができるようになった。ユーザーは、これまでのようにデータを収集して蓄積したところで分析するだけでは不十分だと考えており、求められる時に、求められる所でデータ分析できるプラットフォームを実現しなければならない」と述べた。

米Hortonworks CTO スコット ナウ氏

 またナウCTOはオープンハイブリッドアーキテクチャイニシャティブについて、「現在オンプレミスとクラウド環境で異なるアーキテクチャを共通化し、さらにエッジにまで拡張することで、一貫したアーキテクチャを実現する」と説明する。

 これによって、ストレージとコンピューティングを分離することでアジリティ(俊敏性)が向上し、時間と人的リソースの削減、セキュリティ性能の向上が得られるほか、すべてのデータから価値を見出すことができるようになるという。

 さらにナウCTOは、「ハイブリッドアーキテクチャの実現には、コンテナ技術が鍵になる」と述べた。

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 なお、すでに発表されているHortonworksのマイルストーンでは、2019年にHortonworks 4.0として、次世代データプラットフォームの提供が予定されている。まだ明確なリリース時期は明らかになっていないが、Clouderaとの合併発表後も、この方針は変更されていないようだ。

 とはいえ、両社のプロダクトを相互補完するためには、プラットフォームの共通化は必須となるだろう。両社ともOSSをベースとしたプロダクトではあるが、それぞれのアプローチが異なるため、それほど容易ではないように思われる。今後の動向に注目したい。

2019年には、Hortonworks 4.0がリリースされる予定となっている。今回の合併によって今後のマイルストーンにどのような影響があるかについては、まだ明らかにされていない