ニュース

レノボ、ネットアップの技術を利用したストレージ製品群を国内で提供

ユニファイドストレージLenovo ThinkSystem DMシリーズの「DM5000H」

 レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ株式会社(以下、レノボ)は12日、ストレージ製品群のラインアップに、ネットアップのストレージ技術を用いた新製品を追加すると発表した。ユニファイドストレージ「Lenovo ThinkSystem DMシリーズ」3製品と、ブロックストレージ「同 DEシリーズ」3製品を同日より順次提供開始する。

 中国Lenovoと米NetAppでは9月13日(米国時間)、エンタープライズストレージ事業での包括的に協業し、NetAppの技術を統合したストレージをLenovoのブランドで提供することや、ストレージ事業の拡大に向けて販売・マーケティング面で協業することなどを発表している。

 今回の日本における新製品提供も、このグローバルでのアライアンスを受けたもの。エンタープライズ領域を中心に顧客から高い評価を受けているネットアップのストレージを自社の製品ラインアップに追加し、ストレージの品ぞろえを強化する狙いだ。

 レノボの代表取締役社長で、Lenovo データセンターグループ アジア・パシフィック担当プレジデントも務めているスミア・バティア氏は、「Lenovoの最適化されたサーバーと、ストレージ業界に強いNetAppのソリューションで、市場の92%を網羅する。当社はエントリーやミッドレンジは非常に強く、またエンタープライズにも強い部分はあるが、ネットアップが強いところもある。協力してビジネスを拡大したい」と、この協業の狙いを話した。

Lenovo データセンターグループ アジア・パシフィック担当プレジデント 兼 レノボ 代表取締役社長のスミア・バティア氏

ネットアップの技術を生かした2つの新製品ラインを提供

 新製品のうちLenovo ThinkSystem DMシリーズは、SANとNASを統合したユニファイドストレージ。NAS環境で最大70.5PB、SAN環境で最大35.3PBの拡張性を持ち、ストレージ容量の拡張にも柔軟に対応できるという。

 性能面では、オールフラッシュモデルで最大400万IOPSを実現でき、Oracle、Microsoft SQL Server、VDI、サーバー仮想化などの用途に向くとのこと。

 さらに、統合管理ソフトウェアの「Lenovo XClarity」を用いると、レノボのサーバー、ストレージ、ネットワークをシームレスに管理・運用可能になっている。

 参考価格は、777万5500円(税別)から。

Lenovo ThinkSystem DMシリーズ

 一方のLenovo ThinkSystem DEシリーズは、業務アプリケーションで必要とする性能、信頼性、シンプルさを手ごろな価格で提供するように設計されたSANストレージで、SASによる直接接続のほか、FCおよびiSCSIによるスイッチ接続にも対応している。

 用途としては、ビッグデータ/分析、ビデオ監視、データバックアップなど、広帯域幅が求められるアプリケーションに向くとのこと。またこちらも、Lenovo XClarityによる統合管理に対応している。

 参考価格は265万600円(税別)から。

Lenovo ThinkSystem DEシリーズ

 レノボ 執行役員 製品・企画統括本部 統括本部長の橘一徳氏は、「レノボのエンタープライズビジネスはサーバーだが、お客さまの満足を得るには、それだけでは十分ではない。ストレージやスイッチのポートフォリオを拡充し、お客さまが真に求めるソリューションを提供していく必要がある。ネットアップのストレージOSであるONTAPは、お客さまのデータマネジメントの課題の多くを解決できる優れたテクノロジーと考えており、さまざまなストレージシステムを構築可能だ」と述べ、これらの製品をアピールした。

 また管理面の統合だけでなくサポート面の統合も行われており、Lenovo Premier Supportにより、サーバーとストレージの保守を総合的に提供できる点もメリットとした橘氏は、「サポート窓口が分散してしまうことによる煩雑さを回避できる」と述べた。

 なお両社の提携により提供される製品は、ネットアップのソフトウェア技術を利用しつつ、レノボが持つ世界最高レベルのサプライチェーンを活用して製造されるとのこと。

レノボ 執行役員 製品・企画統括本部 統括本部長の橘一徳氏
レノボとネットアップの協業によるメリット

国内での販売やマーケティングなどでも協力体制を

 また、グローバルでのアライアンスでも協力事項として挙げられていた、販売、新規顧客の獲得といったマーケティング面においても、両社では密に協業していくという。

 レノボの橘氏は、国内での販売施策について「競合してしまっては意味がなく、他社のストレージを使っている企業に対して、ネットアップのテクノロジーをプロモーションし、販売を加速させる狙いだ。パートナーについても、ネットアップの既存チャネルに影響を与えることは考えておらず、ネットアップを担いでいないパートナーを共同で開拓したい。また、販売面での協力、支援を加速させるようなマーケティングも一緒にやっていく」と話す。

 一方、ネットアップ 代表執行役員社長の岩上純一氏も、「レノボの販売ルートで当社のソリューションを売ってもらうほか、お互いのソリューションを統合し、相互にビジネスを積み上げたい。新しいお客さまをどう増やすかということにフォーカスしていく。当社はストレージの国内シェアにおいて、販売金額や容量などで1位を獲得しているものの、ミッドレンジ/エントリーの領域ではまだ2位。レノボはこの領域が強く、協力しながらここでも1位を取りたいと思っている」と述べ、ビジネスの拡大に期待を示した。

ネットアップ 代表執行役員社長の岩上純一氏

 このためにレノボでは、国内を含めてストレージのスペシャリストを増員する計画で、ネットアップの協力も受けながら、検証支援やトレーニングといったパートナーへの支援を実施する考えだ。