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NTT Com、“デジタルツイン”の実現に向けAIを活用した生産プロセスの高精度なモデルを横河電機と共同で構築

 NTTコミュニケーションズ株式会社は4日、横河電機株式会社および横河ソリューションサービス株式会社と、各社のAI/IoT技術を連携させることで、プラント内の反応器の状態を予測するモデル(反応器状態予測モデル)を構築したと発表した。

 NTT Comでは、化学業界や製紙業界をはじめとする製造業の顧客では、効率的な多品種少量生産の実現、環境規制への対応、品質管理や安全管理の強化、熟練工が持つ暗黙知の継承、生産設備の老朽化対応といったさまざまな課題を抱えており、AI/IoT技術によるプラントのデジタライゼーションによる、生産制御技術の高度化が期待されていると説明。

 プラントに必要な計測機器や制御システムなどを開発・製造する横河電機と、同社の子会社で国内制御事業を担う横河ソリューションサービスは、2017年5月から高度EMS(エネルギーマネジメントシステム)による生産最適化技術の開発に取り組んでいる。

 この高度EMSの構築にあたり、2017年10月から、AI/IoT技術活用のノウハウおよびクラウド、ネットワーク、セキュリティなどのICTインフラ基盤を持つNTT Comと共同で、プラント制御の高度化に向けた実証実験を行っており、今回、生産制御技術のさらなる高度化に向けて、2018年4月から共同実証実験を実施した。

 共同実証実験では、NTT ComのAIモデル化技術の活用により、蓄積されたプロセスデータから反応器の状態変化を予測する「反応器状態予測モデル」を生成。このモデルでは、状態変化に影響を与える16項目の変数を対象に、それぞれのモデルを生成・結合し、さらに横河電機が持つ、実際のプラント制御をシミュレートするプラント制御シミュレータと組み合わせ、10日分の生産プロセスに対して、反応器の状態変化とその変化に対する制御を連続的に実行する環境を構築した。

 これにより、予測誤差の累積による乖離を起こすことなく、連続的にシミュレータを実行することに成功。その結果、状態変化に影響を与える各要素の影響度を分析できるようになり、生産プロセスに影響する変動要因の特定や制御パラメータの自動最適化、オペレータ手動操作の自動化など生産制御技術の高度化が期待されるとしている。

 NTT Comでは今後、横河電機、横河ソリューションサービスと共同で、生産プラントにおけるデジタルツイン(実際のプラントを仮想的にリアルタイムで再現し、高度な予測に活用する技術)の実現に向けた第一歩となる実証実験の成果を活用し、さらなる生産制御技術の高度化を継続して進めていくと説明。顧客の生産現場への提供を目指し、技術の早期商用化に向けた検討も合わせて進めていくとしている。

 また、今回の取り組みについては、10月4日~5日にザ・プリンス パークタワー東京で開催する「NTT Communications Forum 2018」、および11月7日~9日にグランキューブ大阪で開催される「SCF2018/計測展2018 OSAKA」のYOKOGAWAブースで紹介を行う予定。