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日本オラクル、「Oracle Blockchain Cloud」の国内提供開始を発表

PaaS分野での取り組みも説明

 日本オラクル株式会社は18日、クラウドサービスOracle Cloudのうちプラットフォーム(PaaS)レイヤーのサービス群「クラウド・プラットフォーム・サービス」について、報道向け説明会を開催。特に、自律型(autonomous)への取り組みを重点的に紹介した。

 またその中で、ブロックチェーンのプラットフォームを提供する「Oracle Blockchain Cloud」を、日本でも同日より提供を開始したことを発表した。

エンタープライズブロックチェーンのプラットフォームを提供開始

 Oracle Blockchain Cloudは、2017年10月のOracle OpenWorld 2017で発表され、米国では7月16日から一般提供されている。今回の発表はその日本での提供開始となり、NTTデータ、NTTデータ先端技術、セゾン情報システムズ、野村総合研究所(NRI)の4社がエンドースメントを発表している。

 Oracle Blockchain Cloudは、Hyperledger Fabricをベースとし、コンテナライフサイクル管理や、イベントサービス、アイデンティティ管理、RESTプロキシ、運用・監視ツールなどが含まれる。

 価格は、「Monthly Flex」プランが60円から(500トランザクション/時間)、「Pay As You Grow」プランが90円から(500トランザクション/時間)となっている。

Oracle Blockchain Cloudを国内提供開始
NTTデータ、NTTデータ先端技術、セゾン情報システムズ、野村総合研究所(NRI)の4社がエンドースメントを発表

 日本オラクル株式会社の佐藤裕之氏(クラウドプラットフォーム戦略統括 ビジネス推進本部 本部長)は、「ブロックチェーンは環境構築するだけでも手間がかかる。そこでイニシャルのセットアップや、エンタープライズで使うための機能などをパッケージングして提供する」と説明した。

 同社の大橋雅人氏(クラウドプラットフォーム戦略統括 ビジネス推進本部 ビジネス推進第1部 担当マネージャー)は、Oracle Blockchain Cloudの用途をエンタープライズブロックチェーンと説明。グローバルでの先行事例として、食品流通のトレーサビリティや、税関プラットフォームなどを紹介した。さらに保険管理でのブロックチェーン利用にも触れ、「Oracle Cloudやオンプレミスの業務システムとの統合も可能」とOracleでの提供の意義を語った。

日本オラクルの佐藤裕之氏(クラウドプラットフォーム戦略統括 ビジネス推進本部 本部長)
日本オラクルの大橋雅人氏(クラウドプラットフォーム戦略統括 ビジネス推進本部 ビジネス推進第1部 担当マネージャー)

「企業のクラウド利用にはプラットフォームサービスが重要」

 佐藤氏はOracle Cloudのサービスを、「クラウド・インフラストラクチャ」(IaaS)、「クラウド・プラットフォーム」(PaaS)、各種アプリケーション(SaaS)に分類。顧客の利用パターンも、既存システムの移行、新規ビジネス、SaaSによるビジネスプロセス効率化の3つに分類して、Oracle Cloudの利用パターン(クラウドジャーニー)を説明した。

 1つめは、既存の環境をIaaSに移しつつ、一部でPaaSを利用するリフト&シフトのパターンだ。PaaSの利用により、管理性向上などのメリットを得られる。

 2つめは、ERPなどSaaSのアプリケーションを利用するパターンだ。この場合に、カスタマイズが必要になるとPaaSのプラットフォームを使うことになり、その対応に重点を置いているという。

 3つめは、新しいビジネスのために、PaaSを中心にアプリケーションを開発するパターンだ。この場合には、PaaSでまかなえないものはIaaSを利用し、作ったものをアプリケーションとしてマーケティングすることもある。

 佐藤氏は3つのパターンにいずれもプラットフォーム(PaaS)が利用されることを指して「プラットフォームが重要であるというのがわれわれの認識」と語った。

3種類のサービスと3つの利用パターン

 そのOracleのクラウドプラットフォームで、2017年のOracle OpenWorldから打ち出されているのが「自律型(autonomous)」というキーワードだ。

 佐藤氏は自律型クラウドが実現することとして、コスト低減や生産性向上のための「self-managing(自己管理)」、リスク低減のための「self-securing(自己保護)」、高い可用性のための「self-repairing(自己修復)」の3つの柱を挙げる。

 また同氏は、自律型の指すものとして、プラットフォームの自律化と、各サービスの自律化があると語った。

 サービスごとに見ると、例えば「Mobile Cloud Enterprise」では、チャットボットや自律運用などが自律化の機能に相当。「Visual Builder Cloud」では、既存サービスの検知や自律運用などが相当する。

 また「Management Cloud」では、運用データの可視化や異常検知、自動レスポンスなどが、「Content & Experience Cloud」では、ワークフロー(承認フロー)の自動化やレコメンデーションなどが相当するとのことだ。

 こうした各サービスの機能の例を考えると、自律型や自律化というのは特定の機能を指すものではなく、強化する機能の方向性を示す言葉と言えそうだ。

自律型クラウドが実現すること
自律型の機能のカテゴリ