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VMwareのエッジコンピューティングへの取り組み、Field&Industry担当副社長兼CTOが説明
2018年6月12日 06:00
ヴイエムウェア株式会社は11日、米VMware Global Field&Industry担当副社長兼最高技術責任者(CTO)のクリス・ウルフ氏が来日し、VMwareの研究開発への取り組みについて説明した。
同氏は、AIやIoT、エッジコンピューティング、サーバーレスコンピューティング、適応型セキュリティ、ブロックチェーンなどの技術に取り組んでいることを示しながら、エッジコンピューティングに向けた取り組みについて時間を割いて説明した。
「VMwareは、エッジコンピューティングについて4年前から取り組んでおり、約2年前から本格化させている」と前置きした上で、「エッジはデジタルとフィジカルの中間にあり、データが消費され、生成される場所である。ここにおいて大切なのは、新たなクラスのアプリケーションが作られ、データが生成され、消費される場所に近いところで利用されているという点である」と説明。その例としては、「データをもとに修理の必要性をユーザーに対して事前に告知したり、販売動向を把握しそれをもとにした仕入れを行ったり、といったこととが行われている」とする。
また、エッジコンピューティングが必要とされる理由については、「データを活用するためには、すぐ目の前のデータを使って判断するといったことも必要になる。1日で1PBのデータを生成する時代が訪れるなかで、作成されるデータを別の場所に移動させて分析するのは最適ではない。サービスをデータに移動させるよりも、データをサービスに移動させることが現実的である。クラウドで処理するには現実的ではないものや、コストがかかるモノはエッジで処理する形になる」などと述べた。
一方で、エッジコンピューティングにおけるVMwareの取り組みや特徴について、「ひとつの管理コンソールからIoTインフラを管理していること、エッジコンピューティング向けにハイパーコンバージドインフラ(HCI)を提供していること、そして、仮想化をエッジコンピューティングで実現するという3つの観点で提供している」と説明。
「ITおよび運用部門向けには、数千のIoTゲートウェイおよびデバイスの管理、監視、セキュリティを提供し、世界規模での一貫性を提供できる。また開発者向けには、ネイティブなオープンソースコンテナ、PaaS、IaaS、FaaSを利用できる環境を用意。一貫したツールとテレメトリを利用できる環境を提供している」とアピールする。
さらには、「大切なのは、ハイブリッドアプリケーションをエッジコンピューティングで実現できることであり、IBMやGoogle、AWS、Azureといった環境も利用できる。これらによって、パートナー主導のソリューションを実現可能だ。このように、一貫性のある開発者環境と、あらゆるクラウドに対応した一貫性のある運用、コンピューティングやネットワーク、ストレージ、セキュリティといった一貫性のあるインフラを提供できるのがVMwareの特徴である」などとした。
このほか、エッジクラウドサービスをVMware環境から実行するメリットとして、共有インフラを提供できること、クラウドサービスの選択肢を提供するなどの柔軟性を持つこと、ハードウェア障害に対する高可用性を提供していること、クラウドサービスからローカルハードウェアへのアクセスが可能なこと、NSXをはじめとした使い慣れたVMwareのツールやソリューションを活用した一元管理ができること、完全にクラウド接続を遮断したり、クラウド接続を制限した状態でサービスを実行できることなどを挙げた。
一方で、ウルフCTOは、同社の開発者に対する基本姿勢についても言及。「VMwareは、最も重視しているのは開発者の自由度である。使い慣れたツール、API、インターフェイスを活用することで、ネイティブ環境を実現できるようにしている。また、オープンソースにも積極的に関与し、一貫した運用と制御を提供することができる」などとし、「2018年という時代は、変革の時代である。ビジネスの変革のためには、テクノロジーの変革が必要である」と発言した。
また、「VMwareの社内には、RADIO(R&D Innovation Off Site)と呼ばれる取り組みがあり、これまでに1700人が参加している。これは、アイデアを持つVMwareの社員であれば、誰でもが参加でき、アイデアを製品やサービスという形にして、オープンソースなどとして提供することになるものであり、社員を活性化させる意味でも重要な取り組みになっている」とも話している。