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NTT Com、100GbE対応の高速ソフトウェアPCルーターを開発

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は11日、100GbE(ギガビットイーサネット)対応の高速ソフトウェアPCルーターの開発に成功したと発表した。同ルーターは「Kamuee(カムイー)」の名称で、6月13日~15日に幕張メッセで開催される「Interop Tokyo 2018」に出展する。

 NTT Comでは、大容量通信を行うコアルーターは、経路検索を高速に処理するCPUを搭載した専用機器で、その導入には数千万円規模の費用と、長期にわたる構築期間が必要だったと説明。こうした課題を解決するため、NTT ComではPCなどでも利用される一般的なCPUを利用した、高速ソフトウェアPCルーターの開発を進めてきた。

 開発したKamueeは、一般的なCPUを利用して、大容量通信のための専用機器と同等以上の性能を実現できるという特徴を備える。NTT Comが東京大学と共同開発したルーターの経路検索アルゴリズム「Poptrie(ポップトライ)」を活用し、多数の経路情報が登録された状態でのパケット転送機能において、ソフトウェアPCルーターとして世界トップレベルの処理速度を実現した。

 ルーターに多数の経路情報が登録されている状態で、大量のパケットを高速に通信するためには、経路検索に多くの時間を要する。Poptrieでは、経路情報の検索に必要となる処理を軽減し、次に経路検索処理に必要とされるメモリを大幅に圧縮する。これにより、全経路情報をCPUキャッシュに載せることができ、経路検索時にCPUがメモリを参照する回数が削減されるため、従来の方式と比べ経路検索の高速化を可能にする。

 さらに、インテルが開発したパケット処理を高速化させるソフトウェアの「DPDK(Data Plane Development Kit)」を採用し、NTT Comの独自のモデルを用いることにより、64バイトイーサネットフレームで257Mpps(パケット毎秒)という高速なパケット転送を実現した。

 NTT Comでは、Kamueeは大規模ネットワークを構成するコアルーターのみならず、小規模ネットワークにおいてユーザー宅内に設置するCPEルーター、複数の仮想サーバーなどを稼働させるSDN(Software-Defined Network)における仮想ルーターとしての利用が期待できると説明。今後は自社網への導入に加え、通信事業者・通信機器メーカーなどとのサービス開発や、顧客へのソリューション提供などの活用も検討していくとしている。