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日立の2017年度第3四半期連結業績は増収増益、営業利益・当期純利益ともに過去最高に

 株式会社日立製作所(以下、日立)は1月31日、2017年度第3四半期(2017年4月~12月)連結業績を発表した。売上収益は前年同期比2.4%増の6兆6740億円、調整後営業利益は同27.2%増の4745億円、税引前利益は同31.1%増の4681億円、当期純利益は同35.2%増の2585億円となった。

2017年度第3四半期連結業績の概要

 日立 代表執行役 執行役専務CFOの西山光秋氏は、「売上収益は、日立物流、日立キャピタル、日立工機の事業ポートフォリオ再編影響および為替影響を除けば、前年同期比5%の増加に相当する。調整後営業利益は、第3四半期累計での過去最高値となり、再編影響と為替影響を除くと、前年同期比1054億円の増加となった。情報・通信システム、社会・産業システム、建設機械の3部門が、営業利益の改善に大きく貢献した。また、当期純利益についても過去最高値となっている」と業績概況について述べた。

日立 代表執行役 執行役専務CFOの西山光秋氏

 国内売上収益は前年同期比3%減の3兆1905億円、海外売上収益は8%増の3兆4835億円。海外売上比率は52%。「事業ポートフォリオの再編影響や為替影響を除くと、国内は前年並、海外は9%増となる。海外で伸びが高かったのがアジア地域で、10%以上の増加となった。特に中国は建設機械、オートモービルが大きく伸びた」としている。

国内・海外の売上収益

 事業部門別では、情報・通信システムの売上収益は、前年同期比1%増の1兆4130億円、調整後営業利益は前年から226億円増の1183億円、EBITは同528億円増の1044億円となった。このうち、システムインテグレーションを中心としたフロントビジネスの売上収益は前年同期比1%増の9776億円、調整後営業利益は前年から111億円増の805億円。ITプラットフォーム&プロダクツの売上収益は前年同期比2%増の5461億円、調整後営業利益は前年から181億円増の374億円となった。

 「情報・通信システムは、国内システムインテグレーションの収益性改善やITプラットフォーム&プロダクツにおける事業構造改革の効果が出てきた。システムインテグレーションでは、中核となる金融、社会・公共のビジネスが好調だった。ITプラットフォーム&プロダクツでは、通信システム事業とグローバルでのストレージ事業の構造改革効果が発現したことに加え、ハイエンドのオールフラッシュストレージの販売が好調に推移した」という。

 社会・産業システムの売上収益は前年同期比2%増の1兆6229億円、調整後営業利益が前年から293億円増の634億円、EBITは前年から209億円増の575億円。

 電子装置・システムの売上高は前年同期比7%減の7632億円、調整後営業利益は前年から32億円増の558億円、EBITは前年から77億円増の566円。建設機械の売上収益は前年同期比35%増の6839億円、調整後営業利益は前年から551億円増の652億円、EBITは前年から613億円増の705億円。

事業部門別の業績概要(情報・通信システム/社会・産業システム)
事業部門別の業績概要(電子装置・システム/建設機械)

 高機能材料は売上収益が前年同期比15%増の1兆2308億円、調整後営業利益は前年から52億円増の931億円、EBITは前年から64億円減の852億円。

 オートモーティブシステムの売上収益は前年同期比2%増の7384億円、調整後営業利益は前年から19億円減の334億円、EBITは前年から54億円減の301億円。

 生活・エコシステムの売上収益は前年同期比5%減の3995億円、調整後営業利益は前年から33億円増の155億円、EBITは前年から53億円増の246億円。その他部門の売上収益は前年同期比18%減の4051億円、調整後営業利益は前年から34億円減の159億円、EBITは前年から29億円増の175億円となった。

事業部門別の業績概要(高機能材料/オートモーティブシステム)
事業部門別の業績概要(生活・エコシステム/その他、など)

 IoTプラットフォームのLumada事業については、売上収益が6770億円で、そのうちLumadaコア事業が1340億円、Lumada SI事業が5430億円となった。年間見通しの9500億円に対する進ちょく率は71%で、当初計画の65%を上回る進行だという。「現在、Lumada事業では、さまざまな分野の企業との取り組みを進めており、『Hitachi AI Technology/計画支援サービス』では、新日鉄住金との共同実証を推進している。また、住信SBIネット銀行とAIを活用した審査サービス創出に向けた検討を開始した。今年4月には、ファナックおよびPreferred Networkと合弁会社を設立する予定で、産業・社会インフラ分野向けインテリジェント・エッジ・システムの開発を目指す」と、Lumada事業の概況について説明した。

Lumada事業の進行状況

 さらに、事業ポートフォリオの改革も進めており、「ヘルスケア事業において、三菱電機の粒子線治療システム事業を4月に買収するほか、画像診断のデータ分析などを行う米VidiStarを1月に買収完了した。また、HKEホールディングスによる日立国際電気の公開買い付けを昨年12月に終了した。今年3月には、ネットワーク機器の開発などを手掛けるアラクサラネットワークスの株式を日本産業パートナーズに譲渡する予定」としている。

 2017年度の通期業績見通しは昨年10月26日公表値を据え置き、売上収益が前年比1.5%増の9兆3000億円、調整後営業利益は12.4%増の6600億円、税引前利益は21.5%増の5700億円、当期純利益は29.7%増の3000億円とした。

2017年度の通期業績見通し

 「全体の通期業績見通しは据え置いたが、部門別では一部見直しを行った。調整後営業利益について、情報・通信システムは90億円、建設機械は200億円の上方修正を実施。一方、社会・産業システムは50億円、高機能材料は150億円、オートモーティブシステムは90億円の下方修正を行った。今回上方修正した情報・通信システムと建設機械は、引き続き堅調に推移するとみており、通期業績見通しを達成できる確度は高まっていると考えている」と述べた。