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トレンドマイクロの2018年事業戦略、法人向けはSOCの支援、個人向けはホームネットワーク・モバイルセキュリティの普及に注力
2018年3月28日 16:09
トレンドマイクロ株式会社は28日、2018年の事業戦略を発表した。代表取締役兼CEOのエバ・チェン氏は、IoTの普及などで今後さらに広がる「つながる世界」に向けて、インターネットを安心して利用するためのセキュリティの提供を実現していくと語った。
チェン氏は、トレンドマイクロが2018年に創業30周年を迎えることを紹介し、30年前はPCのセキュリティ、20年前にはインターネットのゲートウェイセキュリティ、10年前にはクラウド向けのセキュリティと、環境の変化に合わせた製品を提供してきたが、「この30年間、我々の企業としての使命は変わっていない」と説明。今後も常に変化に適応する防御策を提供していくとした。
特に、IoTの普及によりインターネットにつながるデバイス数が急増しているとして、2020年までにインターネットにつながるデバイス数が200億に達するという予想を紹介。一方で、すでにIoTデバイスを悪用しようとする攻撃が増えているほか、ランサムウェアの増加などエンドポイントを狙った攻撃も続いており、今後はさらにサイバー犯罪者が機械学習などを検出回避に利用するため、脅威を検出することがより困難になることが予想されるとして、こうしたさまざまな脅威に対抗するには、一元的な可視化と迅速な対応ができるセキュリティオペレーションセンター(SOC)の重要性がさらに増すとした。
しかし、セキュリティ人材の育成は容易ではなく、今後さらにセキュリティ人材の不足が企業の課題となることが予想されるとして、トレンドマイクロではSOCの効率化に向け、自社でSOCを設立する大手企業向けのツールや、SOC業務を請け負うマネージドセキュリティサービスプロバイダー(MSSP)向けのソリューションなどを提供していくと説明。RESTful APIや、脅威情報の標準記述形式であるSTIX形式への対応など、SOCに親和性がある製品要件を満たす製品を投入していくとした。
また、大手企業では従来型の「エンタープライズSOC」に加え、IoT製品やサービスのセキュリティに特化した「IoT SOC」を設立する企業も増えているとして、こうしたIoT SOC向けの製品も投入していくと説明。トレンドマイクロではすでに、IoTデバイス向けのセキュリティソフト「Trend Micro IoT Security」を提供しているが、さらにブロックチェーンを活用したIoTデバイスの認証や特定、データ保護を実現する「Trend Micro IoT ブロックチェーン」、デバイスの種類に応じて動的なセキュリティポリシーの適用を可能にする通信事業者向けの「Trend Micro Security VNF」などを提供していくとした。
さらに、中小企業やコンシューマーに対しても、「コンシューマーSOC」のような専門家のサポートが必要になっているとして、トレンドマイクロ自身がそうしたソリューションを提供していくとともに、パートナー企業がこうしたサービスを提供できるよう、ソリューションの開発を進めていくとした。
取締役副社長の大三川彰彦氏は、2018年の日本市場でのビジネス戦略として、法人向けビジネスについては、IPSソリューション「XGen IPS(TippingPoint)」ビジネスの国内での本格的立ち上げと、企業課題別でのSOC支援戦略の推進という、2つの施策に注力していくとした。
XGen IPSは、ネットワーク上の異常を検知するほか、未知の脅威の検知など脅威に対する防御力を向上したIPSソリューションで、トレンドマイクロでは企業にカスタマイズされた攻撃へのより迅速な対策を強化するとともに、個々の組織において適切なセキュリティ対策や製品間連携を施せるように、パートナーとの連携を強化していく。
企業課題別でのSOC支援戦略の推進については、自社でSOCを保有する企業向けには、EPP(Endpoint Protection Platform)とEDR(Endpoint Detection and Response)の統合により、SOCの効率的な運用を支援。また、自社でSOCを保有することが難しい企業向けには、SOCのアウトソース先となるMSSPへのMDR(Managed Detection and Response)ツールの提供を通じて支援していくとした。
個人向けビジネスについては、スマートテレビやスマートスピーカーといったさまざまな機器やIoTデバイスの増加を受け、ホームネットワークセキュリティ製品の普及を加速していくと説明。具体的には、家電量販店での従来のPC関連売り場に加え、スマート家電売り場など新しい領域での売り場拡大を進めるとともに、ネットワーク機器ベンダーへのセキュリティモジュールのOEM提供、通信事業者経由でのサービス提供を進めていく。
また、モバイル向けセキュリティ製品についても、スマートフォンやタブレットの購入タイミング時にセキュリティ対策を考慮しやすいように、携帯販売代理店とのパートナーシップを強化し、モバイル向けビジネスの拡大を図る。
さらに、ランサムウェアやフィッシング詐欺など多様化する脅威を防御し、家庭内のIoTデバイスをはじめとするさまざまなデバイスを安心に利用するためには、利用者の不安感を取り除き、課題解決に向けた製品・サービスが重要になると説明。トレンドマイクロの製品・サービスからのフィードバック情報を基に、AI技術を活用したビッグデータ分析による脅威解析を施し、各家庭ごとに気付かないうちに晒されている脅威への予防と早期発見を実現するべく、セキュリティ診断や脅威のモニタリング、緊急通知、セキュリティ事故の復旧支援などを含む、トータルサービスの提供を目指すとした。
IoT向けビジネスについては、通信事業者ならびにIoTサービスプロバイダー、IoTデバイスメーカーとの協業により、新規セキュリティビジネスの創出を目指すと説明。2018年には、「Trend Micro IoT Security」「Trend Micro Security VNF」など、デバイスとネットワーク向けのソリューション提供を推進していくとした。