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NEC、通信事業者の大規模ネットワーク運用を支援するサービス AIを活用し在庫最適化や保守効率改善を実現

 日本電気株式会社(以下、NEC)は22日、AIを活用してモバイルバックホールの設計計画・運用業務を効率化する通信事業者向けサービス「Advanced Performance Analytics for Transport Network」を発表した。2018年度上期中に提供開始する予定。

 モバイルバックホールとは、携帯電話の基地局と基地局制御装置をつなぐ大規模ネットワークのこと。通信事業者は一般に、これらのネットワークを維持、あるいは拡張するにあたって、納入までのリードタイムを考慮し、数カ月先の需要量を予測して通信機器の発注計画を立案しているという。

 今回提供する新サービスは、こうしたモバイルバックホールの設計計画・運用業務を支援するもの。AIを活用することにより、予測精度97%以上という高精度に予測した将来の通信トラフィックを基に、通信機器の需要量を提示してくれる。

 通信事業者は、サービスが提示された需要量を考慮し、現在の在庫数やリードタイムを考慮して発注可能になるため、在庫の適性化が実現するとのこと。

 また現在、通信トラフィックの増加や周辺環境の変化にともなうパケットロスが頻発しているが、各地に設置された大量の通信機器から発せられる、パケットロスの警報を受けてから駆け付け保守を行っているため、保守工数・費用が膨大になり、その削減が課題になっているという。

 そこで新サービスでは、AIを活用し、2~3カ月先にパケットロスを起こす可能性のある通信機器を予測して、保守対象機器の優先順位を提示するようにした。通信事業者は、提示された順位を基に最適な定期保守を実施できるため、保守効率が従来と比べて最大15倍改善するとしている。

 こうした機能は、300万台以上の納入実績を有する超小型マイクロ波通信システム「PASOLINKシリーズ」の構築・運用から得たノウハウと、500件以上のAI適用実績から得たノウハウを融合して開発したとのことだ。

 AI技術としては、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」のひとつ「異種混合学習技術」を利用しており、同技術を搭載したAI活用プラットフォーム「NEC Advanced AnalyticsCloud with 異種混合学習」を活用する。

 なおNECは今後、AIやTOMS(Telecom Operations and Management Solutions)、SDN(Software Defined Networking)などを活用して、障害原因解析やネットワーク最適化などサービスメニューを拡充するとしている。