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ITインフラの最適解は――? コンバージドとハイパーコンバージド、それぞれの適材適所をさぐるイベントが開催

 IT部門がシステムを構築する際、サーバーやストレージを一から選定してシステムを構築する旧来の手法に加え、コンバージドインフラ(Converged Infrastructure:CI)、あるいはハイパーコンバージドインフラ(Hyper Converged Infrastructure:HCI)を検討することが、もはや当たり前になってきている。

 サーバーやストレージ、スイッチなどのネットワーク機器から構成されるCIは、数年前からさまざまなベンダーが提供するようになっており、国内でも多くの導入事例を持つ製品は、すでに珍しくなくなった。

 CiscoとNetAppが共同で提供しているFlexPodもその1つで、すでに8700社を超える企業・団体に導入済み。業界で実績を積み重ねているCisco UCSサーバーと、Cisco Nexusネットワークスイッチ、NetAppのオールフラッシュストレージから構成されるFlexPodは、それぞれのコンポーネントが実証済みの高い性能や信頼性を持つうえ、CIとしての動作検証もきちんと行われており、迅速な導入と容易な運用を可能にしている。また、OpenStackやDockerをはじめとした事前検証済みアーキテクチャは、すでに160を超えているのだ。

 2017年にはさらに、大きな製品強化が行われた。NetAppが提供するストレージ部分は、同社が長年実績を積み重ねてきたNetApp ONTAPストレージが中心となっていたが、6月には、NetApp SolidFireをベースとした次世代データセンターを実現可能な新製品として、FlexPod SFがラインアップが追加されている。

 SolidFireが持つ最大の特徴はストレージのQoS機能。これにより、例えば特定の仮想マシン(VM)がバーストしたとしても、性能を適切にコントロールできるため、その他のVMには影響を及ぼさずに運用を続ける、といったことが可能になるという。また、API対応による運用の自動化なども提供され、クラウドライクなリソース運用を行うことができる。

 もちろん、従来のFlexPodが提供してきた管理の容易さ、高い拡張性、信頼性などはそのまま。ユーザーは、こうしたSolidFireによるメリットと、ONTAPが持つ高度なストレージ機能を検討し、用途に合わせて最適な製品を導入することができる。

FlexPodのラインアップ

 一方で、さらに容易な導入ができるHCIを検討したい、というユーザーも多いだろう。

 以前はCIだけを推進してきた両社だが、Ciscoは2016年よりCisco UCSベースのHyperFlexを、NetAppは2017年よりNetApp HCIを新たに提供開始し、こうしたニーズに対応できるようにした。HCIでは大きく先行するベンダーがあり、両社はいずれも後発といえるが、それだけに、従来型のHCIで問題とされてきた部分をきちんと解消しているという。

 一般にHCIの欠点として指摘されることが多いのは、「構成の柔軟性を欠く」という点だ。HCIはサーバーとストレージが一体化したノードを利用する製品が多いため、簡単に導入できる代わりに、サーバーだけ、ストレージだけを拡張したいという場合でも両方を備えたノードを追加しないとならない、というケースがよくある。ストレージだけを拡張したくとも、サーバーリソースも増えてしまうため、ライセンスコストが増大してしまう――。HCIの問題として、よく聞く話だ。

 これに対してHyperFlexでは、1UのHX220c、2UのHX240cという2種類のノードが用意されており、ストレージ容量を柔軟に構成できるし、コンピュート専用のノードも用意されているので、性能だけを拡張したい、という場合でも対応することができる。NetApp HCIでは、コンピュートノードとストレージノードが最初から分かれているため、柔軟性に対する不安は無用だ。

筐体が2UサイズのHX240cは、HX220cよりも大容量のデータ用ストレージを扱える

 また、HCIへの不安としてささやかれるストレージの柔軟性についても、これら両製品では解消されている。HyperFlexが搭載するストレージソフト「Cisco HXデータプラットフォーム」では、分散処理技術をうまく利用することで、最適なパフォーマンスを確保できる仕組みを導入しているし、NetApp HCIはストレージにSolidFireを採用しており、QoS機能をはじめとしたSolidFireの高い機能を生かすことができる。

NetApp HCIの特徴。QoSによるパフォーマンス保証が最大の強みという

 管理面でも、既存インフラとの分断が問題になるケースは多いというが、HyperFlexはCisco UCSの管理ツールであるUCS Managerでの管理が可能。一方のNetApp HCIも、VMware vCenterでの管理となるため、そうした心配は無用である。さらに、既存ストレージのNetApp FASをバックアップ環境として使えるので、既存環境からの移行もしやすい。

 このように、さまざまな面で既存のHCIが抱えていた問題が解消されており、両社の製品に関する限りは、HCIの導入をためらう必要はなくなった、といえる。

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 となると、エンドユーザー企業の一番の関心は、自社はCIやHCIをどのように活用すべきか、という点だろう。

 これは限られた誌面では説明しづらいことだが、企業ITの選択肢が複雑化する中、ITシステムの基盤選択のあり方を考えていく場として、NetAppとCiscoでは2月1日に「FlexPod Day 2018 Osaka」(会場:BREEZE PLAZA、大阪市北区)を開催。CIとHCI双方を提供する両社が、その適材適所について紹介していくという。

 中でも“目玉”は、イベントの最後を飾るパネルディスカッションだ。Cisco、NetApp両社の担当に加え、さまざまなITシステムの導入実績を豊富に持つユニアデックスも参加。積水化学工業で情報システム部長を務めていた寺嶋一郎氏とともに、ITインフラ選定・運用のベストアプローチを議論していく。

 参加費は無料(事前登録制)のため、ぜひこのイベントにて、自社のベストアプローチは何かを探っていただきたい。