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ベリタス、インテリジェンス機能を持ったオブジェクトストレージ「Veritas Cloud Storage」

 ベリタステクノロジーズ合同会社(以下、ベリタス)は、同社初のオブジェクトストレージ製品として、「Veritas Cloud Storage」を12月4日に発売する。まずはソフトウェア版から提供し、2018年にはアプライアンス製品を投入。さらに、as a Services型のサービス製品も提供するという。

 Veritas Cloud Storageは、PB規模の非構造データや数十億のファイルを保存・管理し、従来のファイルシステムの限界値と比べて100倍のオブジェクトを処理できるほか、2018年5月に施行される一般データ保護規則にあわせた適切なデータ管理、保護などが可能になる。また地理的な分散にも対応し、世界規模の企業が、サイトの場所に関係なくデータにアクセスできるという。

 そしてVeritas Cloud Storageの最大の特徴は、ベリタス独自の分類技術である「Integrated Classification Engine」により、データを分析や分類するインテリジェンス機能を新たに追加したことだ。

 このエンジンでは、約60種類の定型ポリシーと約100種類の検出パターンを提供するのみならず、ユーザーによる検出パターンのカスタマイズ機能も持つ。

Veritas Cloud Storage

 米Veritas Technologies(以下、Veritas) プロダクトマーケティング担当バイスプレジデントのデビッド・ノイ氏は、「機械学習や分類の技術を保存データに適用することで、データから高い価値を引き出すことが可能になる。新たなレベルのインテリジェンスと管理により、スマートなストレージを実現するものになる」としている。

 なおIntegrated Classification Engineは、すでに提供されているデータガバナンス製品やアーカイブ製品にも搭載されており、今後、ほかの製品にも順次搭載していくという。

米Veritas プロダクトマーケティング担当バイスプレジデントのデビッド・ノイ氏

 Veritasのノイ バイスプレジデントは、「運用コストの低減などの観点から、昨今、SDS(Software Defined Storage、ソフトウェア定義型ストレージ)に対する関心が高まっているが、当社はSDSという言葉が生まれる前から、約25年間にわたって、この分野に取り組んできた経緯がある。その一方で、非構造化データは膨大な勢いで増加しており、SNSや監視カメラだけでなく、時計や電話、靴からもデータが発信され、2020年には、1億5000万年分の高精細ビデオの量にあたる、52ZBものデータ量に達することになる」と前置き。

 「こうした非構造データの管理においては、オブジェクトストレージが最適。この製品を、まずソフトウェア版で提供するのは、プラットフォームに依存しない選択肢を用意するためだ。大手ストレージベンダーは、ボックスを販売しているためにベンダーロックインをしようとする。だが当社はソフトウェアの企業であり、パブリッククラウドやオンプレミスに移行しても、あるいは競合他社の製品に移行したとしても、データはそのまま活用できるようになっている」と述べ、アプローチの違いを説明した。

 さらには、「しかも、性能を犠牲にすることがない。当社が提供するオブジェクトストレージは、PB級のデータを活用しながら、多くのインサイトを獲得できること、ストレージ管理を簡略化できること、ストレージサイロを解消できること、大幅なパフォーマンス向上を実現できる点が特徴である」などと述べ、製品をアピールした。

ベリタスでは、プラットフォームに依存しないSDS製品を提供しているという

「360度データ管理」ソリューションの1つとして展開

 なおベリタスでは、企業のデジタル変革を成功させるために、最も重要な資産に位置づけられるデータを、保護、管理、活用する「360度データ管理」ソリューションを提唱している。

 「360度データ管理」は、オンプレミスやクラウドなど、データを保持する場所を問わず、さらにOpenStackやコンテナなどといった新たな技術に対応することでストレージを最適化させ、アプリケーションを最も効率的な環境で実行できるようにするものだ。

ベリタスの「360度データ管理」

 ベリタス テクノロジーセールス&サービス本部 常務執行役員の高井隆太氏は、「マルチクラウド時代においては、確実にアクセスでき、リカバリーできるというデータ管理に対する変わらない要件と、データが置かれる場所や新たな技術、非構造データの膨大な増加といったクラウド時代の新たなデータ管理の要件に対応していくことが大切である。データ可視性向上、デジタル・コンプライアンス、事業継続・レジリエンシー、データ保護・活用、データ&アプリの移行性、ストレージ最適化という6つの観点から、データ管理に関する課題を全方位的に解決する『360度データ管理』を提案している」と説明する。

 今回の新製品は、SDSソリューションの1つとして、この360度データ管理プラットフォーム上に構築されるという。

 「当社は、データ管理の特性に応じてストレージを最適化する『データサービス』の観点から取り組んでおり、今日、発表した新製品は、マルチクラウド環境において、ストレージをどう最適化するかといったことを実現するものになる」(高井氏)。

ベリタス テクノロジーセールス&サービス本部 常務執行役員の高井隆太氏
データサービスの観点からストレージを最適化

 また、ベリタス インフォメーション・アベイラビリティ アーキテクトの星野隆義氏は、「Custom Metadata」「Classification」「Action for BI」「Geo Awareness」「Scalability」の5つを、ベリタスが考える次世代ストレージ戦略の5大要素に位置づけていることを説明。

 「企業が持つデータの41%が3年以上更新されておらず、55%が見えていないデータである。そうしたなかで、企業においては、重要データの定義ができていなかったり、データの対象が多くて、見る時間がない、収集した非構造データを適切に取り出したい、グローバルのデータ共有をしたい、大量のデータを格納したいというニーズがある。当社は、こうした要件を満たし、データの有効活用を支援するストレージを提供することになる。ユーザーの要件にあわせたメタデータの付与、データのClassificationなどを通じて、データを有効利用できるのに加えて、ストレージコストの最適化と柔軟性の実現や、データガバナンスも実現できる」と述べた。

次世代ストレージ戦略の5大要素
5つの要素がもたらすメリット
ベリタス インフォメーション・アベイラビリティ アーキテクトの星野隆義氏

 一方でベリタスは、インテリジェントストレージを利用した、医療機関の導入例の見込みについても説明した。

 「例えば医療機関では、患者データ管理にオブジェクトストレージを活用して、大幅に効率化し、人的エラーを最小限に抑制するといったことが可能になる。患者が装着するスマートデバイスから、オブジェクトストレージに送られるデータに異常を感じた場合、ワークフローをトリガーするといった仕組みを構築。スマートデバイスから入ってくる情報と、これまでの履歴をもとに分析することで、異常値を認識して、医者に対し患者のもとへ行くようにうながす提案ができる。しかもメタデータで対応しているため、患者のプライバシーを破る心配がないという特徴もある」(Veritasのノイ バイスプレジデント)。

医療機関における事例