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SAPジャパン、デジタルイノベーションを推進する「SAP Leonardo」の国内本格展開を開始

 SAPジャパン株式会社は17日、デジタルイノベーションシステム「SAP Leonardo」の導入を支援するサービス「SAP Leonardo Innovation Services」を提供開始し、日本市場で本格展開すると発表した。

 2017年5月に発表された、SAPの新しいシステムであるLeonardoは、IoT、機械学習、ブロックチェーン、アナリティクス、ビッグデータ、データインテリジェンスという、SAP Cloud Platformから提供されるソリューションに加え、デザインシンキングなどのイノベーション支援サービスから構成される。

 含まれているテクノロジーは以前から提供されていたものも多く、LeonardoとしてSoI関連のソフトウェアやサービスをリブランディングしたといえるだろう。

SAPジャパン、デジタルイノベーションを推進する「SAP Leonardo」の国内本格展開を開始 Leonardoは、クラウドソリューションとイノベーション支援サービスで構成される
Leonardoは、クラウドソリューションとイノベーション支援サービスで構成される

 SAPといえば世界最大のERPパッケージベンダーであり、ERPはSoR(Systems of Record:記録のためのシステム)だ。しかし、SAPはLeonardoを「Systems of Innovation」、つまりイノベーションを推進するためのシステムと位置づけている。既存のSoRとSoIが連携することで、既存のビジネスと新しいデジタルビジネスを融合し、企業の革新的なイノベーションを支えるという。

SAPジャパン、デジタルイノベーションを推進する「SAP Leonardo」の国内本格展開を開始 SoRとSoIが連携してイノベーションを支える
SoRとSoIが連携してイノベーションを支える

 SAPジャパン 代表取締役社長の福田譲氏は、SAPの既存ビジネスであるSAP S/4 HANAに代表されるERPパッケージとLeonardoの関係性について「普段はあまり意識することはないが、お風呂に入ったときに体を洗う順番がいつも同じだったり、朝起きてから出かけるまでの行動はいつも同じだったりする。行動には一定のパターンがあり、次に何が起こるのかを予測することもできる。SoRであるSAP S/4 HANAは、企業の日々の細かい業務を支えるしくみであり、末端の作業まで記録されている宝の山。機械学習などの機能を用いて膨大なSoRのデータからパターンを発見することで、ビジネスでも次に何が起きるかをインテリジェントに予測して対応することができるようになる」と説明した。

 さらに福田氏は、Leonardoについて「イノベーションは1人の天才がある日突然思いついて実現するものではなく、膨大な情報を因数分解し、既知のもの同士を“新結合”することで生まれる。Leonardoを発表したことで、SAPはこれまでとずいぶん違うビジネスをするようになったと言われることも多いが、自分たちはそのようには考えていない。SAPは企業の業務を細分化してその本質を見抜き、アセット化して、ERPパッケージを提供してきた。イノベーションにおいても同じことをしたのがLeonardoだ」と述べた。

SAPジャパン、デジタルイノベーションを推進する「SAP Leonardo」の国内本格展開を開始 SAPジャパン 代表取締役社長 福田譲氏
SAPジャパン 代表取締役社長 福田譲氏

 今回、Leonardoの早期導入を支援するサービス、SAP Leonardo Innovation Servicesの提供を開始した背景について、SAPジャパン IoT&デジタルサプライチェーン事業部 部長 小野田久視氏は、「こういうソフトウェアがあります、こんなサービスがありますと言うだけでは、なかなか導入までたどり着くことは難しい。そこでプロトタイプとなるパイロットプロジェクトを素早く導入するサービスの提供を開始することにした」と説明する。

SAPジャパン、デジタルイノベーションを推進する「SAP Leonardo」の国内本格展開を開始 SAPジャパン IoT&デジタルサプライチェーン事業部 部長 小野田久視氏
SAPジャパン IoT&デジタルサプライチェーン事業部 部長 小野田久視氏

 SAP Leonardo Innovation Servicesには、3種類のエディションが用意されている。いずれのサービスも企業がニーズに最も適したSAPソリューションを決定する前のデジタル化を進める段階で、革新的なテクノロジー、ビジネスモデル、プロセスを詳しく検討することができる。

express edition

 すでに何らかの形でSAPを導入した経験があり、ベースとなるソフトウェアがある領域向けだ。8週間以内でソリューション導入と固有の企業ニーズに応じたカスタマイズが可能。

open innovation edition

 SAPが導入経験がない、あるいは経験が少ない領域向け。企業固有のビジネス課題を解決するソリューションを9週間以内で導入可能。SAP Cloud Platformをイノベーションに活用できるほか、Design Zoneサイトを通じて密接なコラボレーションがサポートされる。

enterprise edition

 open innovation editionの範囲が拡大され、ビジネスに適したソリューションを同時に複数作成することができる。また、SAP Cloud PlatformやDesign Zoneに加えて、エンパワーメントセッションとSAP Leonardo Innovation Servicesショールームへのアクセスが可能。

 2017年2017年10月12日には、Leonardo向けのパートナーコンソーシアムも発足している。Leonardoに注力するパートナー向けに、最新情報やソリューション情報を共有するほか、ビジネスシナリオに基づくモックアップ構築など、実践的な活動を通じてビジネスを活性化させる、自律的なエコシステム形成を目指すという。コンソーシアムへの参加企業はすでに50社を超え、これまでSAPとは付き合いのなかったハードウェアベンダーやネットワークベンダーなども参加しているとのこと。

 また、Leonardoという新たなブランドによるソリューションおよびサービスの提供ではあるが、SAPのビジネスにSoRが占める割合は半分を切っており、SAP社内にはSoIに対応できる人材も多く存在するほか、パートナー向けに無償で研修を行うこともあり、今後はますます優秀な人材が増えていくことが予想されるとした。

 なお、Leonardoおよび、SAP Leonardo Innovation Servicesの価格は明らかにされておらず、プロジェクトごとに個別見積もりになる。