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富士通、組立工程情報と生産現場の工程を一体化できるデジタル生産準備ツールの新版

 富士通株式会社は、デジタルプロセス株式会社が開発したデジタル生産準備ツール「FUJITSU Manufacturing Industry Solution VPS(Virtual Product and Process Simulator)」において、組立工程情報と生産現場の工程を一体化するための機能を強化した新版を、6月1日から販売する。

 「FUJITSU Manufacturing Industry Solution VPS」は、CADで作成した製品の3次元モデルデータを活用し、製品組立時の工程検討、製造ラインのレイアウト検討、製造用ドキュメント作成、生産設備の制御ソフトウェア検証といった生産準備に必要な業務をカバーし、量産立ち上げをスムーズに行えるよう支援するパッケージソフトウェア。

 今回の新版では、常に変化する組立工程情報を正確かつ短時間に作成、最新化するために、組立動画作成機能と設計変更対応機能を強化。作業指示書など生産で使われる技術文書に利用する動画や静止画を作成するために、分かりやすい視点に自動的に切り換える機能や、工程情報を注記として一括自動挿入する機能を追加した。さらに、設計変更対応機能に差分形状表示や色分け機能を追加することで、組立工程情報を正確かつ短時間に作成し、常に最新化を図れるようにした。

組み付け対象部品を自動的に拡大表示
工程情報を図中に一括自動挿入

 また、ノートパソコンなどの製品における多種多様な仕様に対し、すべての仕様に含まれる部品および工程情報を形状情報とともに1つのVPSファイルに集約し、製品仕様ごとに工程情報の表示や出力、組立動画の再生など、切り替えを行うことができる機能を追加した。従来は、仕様ごとにVPSファイルを作成・運用していたが、共通する部品や工程に変更が発生した場合も、仕様別のすべててのVPSファイルを修正する必要がなくなり、データの管理が容易になる。

 製品構成や組立手順が大筋確立している大型車両などの製品に対しては、部品一覧や構成などを示したBOM(Bill of materials)情報を元に、組立工程情報を作り込むことができるBOM-CAD割当機能を追加。BOMシステムで管理される部品・構成情報とCADの形状情報を組み合わせて組立工程情報を作成でき、部分的にユニットなどの改善が行われた場合などでも、速やかな組立工程情報の作りこみが可能となる。

 さらに、VPSで作成した組立手順の動画や工程フロー情報などの組立工程情報を生産現場で閲覧するための「製造指示Viewer」を提供。従来の紙での作業指示書に代わり、ディスプレイ上の動画によって分かりやすく作業指示を行うことで、作業者のスキルに依存することなく、効率的かつ正確に組立て作業を行うことができる。また、製造指示Viewerは、カスタマイズにより、工具やピッキングシステムからセンシングした作業実績情報をMES(Manufacturing Execution System)に自動連携することが可能となり、生産現場の作業実績情報をVPSにフィードバックするとともに、生産現場のIoT化の促進に貢献する。

製造指示Viewerのイメージ

 価格(税別)は、「VPS 組立動画」が98万円、「VPS Standard V15L19」が400万円、「VPS GP4 V11L17」が440万円、「VPS IOC Express V20L19」が400万円、「VPS製造指示Viewer」が300万円から。富士通では2020年度末までに50億円の売上を目標とする。

VPS製品構成