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日本オラクル、人材管理クラウドの教育研修機能を国内で本格展開

 日本オラクル株式会社は、人材管理クラウドサービス「Oracle HCM Cloud」の教育・研修機能である「Oracle Learning Cloud」を、日本でも本格展開する。同社が5月9日に開催したHRテクノロジに関する説明会にて明らかにした。

 Oracle HCM Cloudは、従業員情報の統合管理や分析、採用、教育、評価など、人事業務を支援するクラウドサービス。全世界で6000社以上の顧客を抱えており、同サービスにて管理対象となっている従業員数は1500万人以上にのぼる。今回国内で本格展開するOracle Learning Cloudは、その中でも従業員の教育やスキル開発に注力したサービスだ。

Oracle HCM Cloud事業の現状

 日本オラクル クラウド・アプリケーション事業統括 ソリューション・プロダクト本部 HCMソリューション部の津留崎厚徳氏によると、Oracle Learning Cloudは2年前にグローバルにてリリースしたものだが、アーリーアダプタープログラムなどによって一部のユーザーに限定して提供していたという。国内での本格展開の背景について同氏は、「ようやく多くの企業で求められる要件が整い、幅広く提案できるようになった」と述べている。

日本オラクル クラウド・アプリケーション事業統括 ソリューション・プロダクト本部 HCMソリューション部の津留崎厚徳氏

 Oracle Learning Cloudは、研修の受講や管理、人事業務との連携機能などを備えているが、中でも特徴的なのがソーシャルラーニング機能だ。これは、従業員が自発的にコンテンツを作成して公開する機能や、そのコンテンツを共有して受講者のフィードバックを得る機能などが含まれる。

Oracle Learning Cloud

 ソーシャルラーニングの重要性について津留崎氏は、「(2000年代に生まれた)Z世代は、インターネットが普及している環境で育った世代で、ソーシャルメディアやモバイルの利用率も高い。こうした世代に向けては、これまでのように研修部門が提供する集合研修やEラーニングだけでなく、従業員が互いに学びを共有するソーシャルラーニングがより重要になってくる。ソーシャルラーニングでは、モバイルで動画を撮影してアップロードし、その内容を気軽に共有し『いいね』といった反応を得ることが可能だ。このような研修の仕組みを取り入れることで、社員のエンゲージメントが向上しOJTの活性化につながる」と説明する。

ソーシャルラーニングの重要性

 Oracle Learning Cloudにて展開されたトレーニングなどの学習実績は、Oracle HCM Cloudのデータベースに記録される。研修受講後には受講者のスキルや資格情報が自動で更新されるほか、職務内容に応じたラーニングコンテンツをシステムが推奨するなど、キャリア開発にリンクした学習が可能となっている。

 Oracle Learning Cloudの価格は、Oracle HCM Cloudユーザーの場合、追加サブスクリプションとして月額1人200円が必要となる。

 津留崎氏は、Oracle HCM Cloudの開発中の機能も一部紹介した。今後、人事担当者が従業員からの問い合わせに対応する際、担当者の割り当てや対応状況をしっかり管理し効率化する機能や、チャットボットを活用してシステムが自然言語で従業員からの問い合わせに回答できるような機能などが登場する予定だという。

開発中のチャットボットのイメージ

 説明会では、慶應義塾大学大学院経営管理研究科 特任教授の岩本隆氏も登壇。同氏は「第4次産業革命の進展により、人事のあり方にも変革が求められるようになった。そのため、人事と経営との連携が重要だ」と述べている。

 岩本氏は、テクノロジが進化し、より体系的な経営や人事が可能となってきたことで、「勘と経験による経営から脱却できる」と指摘。人事部門は、データアナリストを配置するなどしてデジタルトランスフォーメーションが可能な「デジタルHR」体制を敷き、経営目線でデジタルを活用して業績向上に貢献することが重要だと述べた。

慶應義塾大学大学院経営管理研究科 特任教授の岩本隆氏