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富士通研、オールフラッシュアレイのレスポンスを高速化するインメモリ重複除去技術を開発

 株式会社富士通研究所は5日、オールフラッシュアレイのレスポンスを高速化する、インメモリのデータ重複除去技術を開発したと発表した。データ書き込み時の応答速度が従来方式と比べて最大2倍高速なストレージシステムを実現できるという。

 近年のオールフラッシュアレイでは、フラッシュデバイスはHDDに比べて高価であること、生涯書き込み量に制限があることから、重複するデータを一つにまとめてからフラッシュデバイスに書き込む重複除去技術が搭載されている。また、その重複排除処理をストレージアレイに搭載したメモリ上で行うインメモリ重複排除技術も登場してきた。

オールフラッシュアレイのストレージシステムと重複除去

 しかしこのような従来技術では、データを書き込むたびに、複数のフラッシュ装置を接続するネットワークを介して重複データを検索する必要があるため、ストレージ装置が大規模化・高速化すると検索処理時間がオーバーヘッドになって、書き込み時の応答速度が低下する点が課題とされていた。

 それに対して、今回開発された技術は、データ書き込み後に重複除去を行うことにより、応答速度を速めているという。具体的には、オールフラッシュアレイを構成するストレージ装置が連携して、空いているメモリ(キャッシュ)に書き込みデータを一旦保持することで書き込みを完了させる仕組み。

 その後、サーバーがメモリからのレスポンスにより次の書き込み作業のための準備を進めている間に、並行してストレージ装置間で通信を行って重複データを検索し、重複を除去してSSDへ最終的に書き込む。これにより、ストレージシステムのネットワーク負荷が低い時には、書き込み時の応答速度が最大で2倍向上するという。

 ただし、ネットワーク負荷が高くなってくると、装置をまたがったデータ書き込み時間が長くなるため、従来方式より応答速度が低下してしまう。そこで、重複除去後に書き込む応答時間の変動が少ない従来手法と、応答時間が変動する新手法の2つのうち、実際の応答時間を計測した履歴をから平均的な応答時間の期待値を計算し、応答時間が短くなる手法を自動的に選択するようにしている。

 富士通によれば、こうした技術を用いることにより、fioベンチマークで従来比約2分の1の最短レイテンシを実現。オールフラッシュアレイにおけるデータ書き込み時の応答時間を、最大2倍高速化できたとのことで、仮想デスクトップの反応速度向上やDB処理を高速化可能とした。

 富士通研究所では、さらなる高速化技術の開発を進め、2017年度以降に富士通株式会社のストレージ製品への搭載を目指す意向だ。

開発したインメモリ重複除去技術