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キヤノンITSがクラウド型の「テレワーク管理ソリューション」を参考展示
Japan IT Weekブースレポート 2017年1月以降の提供開始予定
(2016/5/13 12:00)
キヤノンITソリューションズ株式会社(以下、キヤノンITS)は、顔認証技術を活用した「テレワーク管理ソリューション」(仮称)を開発。クラウドサービスとして、来年1月以降に提供を開始する。
リアルタイムでテレワーカーの勤務状況を確認できるほか、テレワーカーの勤務履歴をログとして保存。さらに、本人確認と覗き見防止などのセキュリティ対策が可能になる。
「女性の雇用拡大に加えて、勤務形態の多様化が進み、在宅勤務を導入する企業が増加。2015年には、国内テレワーク市場は1兆円規模に拡大し、2020年度には、テレワーク導入企業が2012年度の3倍になると予想されている。だが、在宅勤務の状況を確認したり、証跡として残す手法手法が確立されていないこと、在宅勤務時の適切な労務管理の方法がないこと、情報漏えいへの対策などが講じられていないといった課題があった。また、在宅勤務の多くは、裁量制を採用することになるが、裁量制があわない部門では、短期間の在宅勤務の場合だけ裁量制を採用するのが難しいというケースも多い。こうした部門では、会社で勤務しているのと同じルールを短期間だけ採用するという仕組みが求められている。顔認証技術を活用したテレワーク管理ソリューションは、こうした課題の解決策として提案できるものになる」(ITサービス事業本部 ITサービスマネジメント事業部 ITサービス営業部の松野一担当課長)とする。
5月11日から東京・有明の東京ビッグサイトで開催されている2016 Japan IT Weekの同社ブースで参考展示した。2015年11月に開催されたキヤノングループのプライベートイベント「Canon EXPO 2015」で初めて参考展示されたが、同イベントは主要顧客だけを対象にしたものであり、幅広いユーザーに対して公開したのは今回が初めてとなる。
顔認証で本人確認、在席・離席の状況を把握
テレワーク管理ソリューションでは、ノートPCなどに搭載されているWebカメラを利用して、テレワーク実施時における在席・離席の状況を確認することができる。
テレワーカーが自宅で仕事を開始する際に、顔認証で本人確認後、「勤務開始」のアイコンをクリックすると勤務管理がスタートする。
Webカメラによって、本人がPCの前で作業をしていることを確認。PCの前から離れて仕事をしていることもログデータとして保存する。
また定期的に画像をキャプチャして保存し、勤務の様子を管理者が確認したり、証跡として残したりすることができる。
在席・離席などの勤務状況を視覚的に把握できるよう、ビジュアル化して表示。管理者画面では、勤務時間を青で表示。緑が在席時、黄色が離席時を示す。勤務時間は、日・週・月ごとに確認できる。
昼食の休憩や仕事を終了する際、外出する際などには、「勤務終了」のアイコンを押す。
「離席時間が長かった場合は在宅勤務が適正に行われているかどうかを確認したり、逆に在席時間が長かった場合にも、労務規定に反した形で長時間連続にわたって仕事をしていないか、といったことが確認できる」(松野担当課長)という。
インシデントが発生した際にも、カメラで撮影した画像と、表示されている画面のキャプチャの保存が自動的に行われるとともに、顔認識技術を使って、なりすましや覗き見などの可能性を指摘。管理者にはメールで知らせることができる。
特に、重要なデータなどが画面に表示されている場合に、後ろから覗き見されていたり、なりすましで他人が閲覧したりしていると、顔認識でそれを把握し、情報漏えい防止のために、画面をブラックアウトさせることが可能という。
R&Dセンターからの提案によって開発がスタート
今回参考展示したテレワーク管理ソリューションは、キヤノンITSのR&Dセンターからの提案によって開発が始まったという、ユニークな経緯を持つ製品だ。
R&Dセンター 先進技術開発部の田中泰洋部長は、「顔認識技術を活用したソリューションとして在宅勤務に着目し、2013年から開発をスタート。これまで、キヤノンITSにおいて、総務部門の社員約10人を対象に約1年半の実証実験を行ったり、キヤノンマーケティングジャパンにも約1カ月間、試験導入を行った経緯がある。それらの意見を機能強化に反映させている。また、キヤノンEXPOの参考展示の際にも、来場者からいくつかの意見を得て、それを反映させた」とする。
「静止画の画像を使って、いかに就業状況を把握することができるか、という点での開発が難しかった。どれぐらいの時間を覗かれていたら、覗き見と判断するのかといった時間の調整などにも工夫を施した」という。
松野担当課長は、「すでに基本機能の開発が完了しているが、今回のJapan IT Weekでの参考展示によって、来場者の意見を反映したいと考えている。クラウドサービスとしての提供のほか、要望が多ければオンプレミス型の製品化も検討していくことになる。在宅勤務管理だけでなく、情報漏えい防止ソリューションとしての提案も可能だと考えている」としている。
金融、保険などの情報セキュリティの強化に注力している企業への導入も図る考えだ。
年内には開発を完了し、2017年から販売を開始していくことになるというが、すでに、個別商談によるカスタマイズ導入については対応が可能だとしている。価格は未定だが、クラウドサービスでは、1人あたり月額数千円での提供を予定している。
また、ITサービス事業本部 ITサービスマネジメント事業部 ITサービス事業企画部の石原保志部長は、「キヤノンITSが提案するSaaSメニューのひとつとして提供することで、当社のクラウドサービスの幅を広げていくことができる。また、テレワーク管理ソリューション単体で販売するだけでなく、人事・給与システムとの連携提案のほか、カスタマイズ対応によって、ユーザーの要求にあわせた柔軟なソリューション提案も行っていきたい」としている。