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WithSecure年次イベントが開幕、「ミッドマーケットに優れたセキュリティを提供する」とCEO

 フィンランドに拠点を置くWithSecureが5月28日から2日間、年次イベント「WithSecure SPHERE24」を開催している。同イベントは、F-Secureが企業向け事業をWithSecureとして分社化した2022年より開催されているイベントだ。3回目となる今回の参加者は約700人。同社ではこのイベントを、一般的な「カンファレンス」とするのではなく、登壇者や参加者が交流し情報共有する「アンカンファレンス」と位置づけている。

 イベントのオープニングには、WithSecureの暫定CEOを務めるアンティ・コスケラ(Antti Koskela)氏が登場し、「WithSecureはミッドマーケット(中堅中小企業向け市場)に注力する」と宣言した。「当社はパートナーとともに、ミッドマーケットの顧客が優れたサイバーセキュリティを実現できるよう支援する。そして、その優れたサイバーセキュリティを民主化することがミッションだ」(コスケラ氏)。

WithSecure 暫定CEO アンティ・コスケラ(Antti Koskela)氏

 ミッドマーケットに注力する理由としてコスケラ氏は、「犯罪者は企業の規模によってターゲットを差別することはない。中堅中小企業は重要なデジタルサプライチェーンの一部であるため、大企業を狙うことなく重要な情報を入手できる」と、同市場が狙われている状況を解説。その一方で、ミッドマーケットに対する実現可能で手ごろな価格のサービスが存在せず、サービス不足やリソース不足が課題になっていると指摘する。

 そこでWithSecureは、1500人のサイバーセキュリティ専門家によるアドバイスから、中堅中小企業が対応すべきリスクを3つのカテゴリーに分類した。それは、「レジリエンシー(回復力)」、「顧客の信頼とコンプライアンス」、そして「効率性」だという。

 こうした要素に対応するのが、同社のモジュール型セキュリティソリューション「WithSecure Elements Cloud」だ。コスケラ氏は、「製品はシンプルであるべき。ユーザーの生産性を向上させ、最小限のセキュリティでギャップを埋める必要がある」とした上で、WithSecure Elements Cloudに関する最新情報を紹介した。

 そのひとつが、Elements Cloudに新たに組み込まれた生成AIベースのセキュリティツール「WithSecure Luminen」だ。LuminenはLLM(大規模言語モデル)機能を活用しており、複雑なタスクを簡素化。状況に応じたガイダンスを提供することで、セキュリティ分野における人材不足を改善するという。Luminenのアルゴリズムが、セキュリティインシデントを詳細に分析してアクションを自動化し、状況に即したインサイトを提供する。

フクロウのキャラクターが登場するLuminen

 Luminenは、処理済みのデータと、事前定義済み・テスト済みのプロンプトオプションを使用することで、不適切なプロンプトによる誤った対策を推奨するリスクを低減させる。この構造化されたアプローチにより、チャットのようなインターフェイスは不要となる。

 「Luminenは、新たなユーザーエクスペリエンスの基盤となるものだ。このツールは単なるコパイロット(副操縦士)のようなものではない。プロンプトをコードの中に組み込んでおり、実際にAIが仕事をすることになる。Luminenによって、リソースが少ない中堅中小企業でもセキュリティ管理者の負担が軽減でき、セキュリティの専門家でなくとも適切な対策が講じられるようになるだろう。これでセキュリティ対策に自信を持てなくなっていた中堅中小企業に自信を取り戻してもらいたい」とコスケラ氏は述べた。