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Cloudera、プライベートイベント「Cloudera World Tokyo 2017」を開催

基調講演で日本市場の新体制やグローバルでのビジネス展開など説明

 Cloudera株式会社は、プライベートイベント「Cloudera World Tokyo 2017」を11月7日に開催した。

 イベントでは、ビッグデータ管理と分析のための最先端のプラットフォームを取り巻く環境について、「機械学習とAI」「クラウドの活用」「顧客行動の全方位の把握」「IoT」「サイバーセキュリティ対策」の5つのカテゴリーに分け、それぞれ最新のソリューションやビジネス事例を紹介している。

 また基調講演では、11月6日付で代表取締役に就任した中村共喜氏が所信を述べたほか、米Cloudera チーフマーケティングオフィサー(CMO)のミック・ホリソン氏と、最高技術責任者(CTO)のアマー・アワダラ氏が登壇。同社が提供する最先端データ分析プラットフォーム「Cloudera Enterprise」の概要や、最新の製品アップデートなどについて説明した。

日本市場に向けた情報発信を強化していく

 基調講演の冒頭で、あいさつに立ったのは、11月6日にCloudera日本法人の代表取締役に就任したばかりの中村共喜氏。「Clouderaは、ビッグデータ管理プラットフォームのトップベンダーであるが、現在では、オンプレミスだけでなく、あらゆるクラウドに最適化された機械学習と分析のための最先端プラットフォームを提供している。そして、データの力を通じて、顧客におけるビジネスの不可能を可能にしていくことをミッションとしている」と、同社の企業ビジョンについて紹介した。

Cloudera 代表取締役の中村共喜氏

 「Clouderaのソリューションは、国内外で多くの導入実績をもつが、日本ではそのメッセージを伝える機会が少なかった。特に、IoTやビッグデータ、機械学習といった領域は、日本ではごく一部の企業でしか活用されていないのが実情で、ほとんどの企業は導入検討の段階にあると感じている。今後は、そうした企業に向けて、最先端の技術動向や製品情報、導入事例などを積極的に提供していく」と、新体制では、日本市場に向けた情報発信を強化していくという。

 また、「日本の企業に対して、機械学習と分析のためのプラットフォームの導入からデザイン、構築、運用に至るまでトータルで支援できるよう、パートナーとの連携も強化する。パートナーとともに、企業それぞれのニーズに的確に応えられるサービスとテクノロジーを提供していく」と述べ、国内でのさらなるビジネス拡大に意欲を見せた。

 続いて、Clouderaのミック・ホリソンCMOが登壇。「データをコアにした企業が大きく成長している中で、まだほとんどの企業はデータから価値を引き出すことができていない。例えば、意志決定に使用されている構造化データの比率は50%以下であり、分析に使用される非構造化データについては1%にも満たない。また、許可を受けていないデータにアクセスしている従業員の比率は70%。さらに、データの特定と準備に費やされるアナリストの作業時間は80%を占めているのが実情だ」と、データから価値を発掘できていない企業は多いのだと指摘する。

米Cloudera チーフマーケティングオフィサー(CMO)のミック・ホリソン氏

 こうした状況の中、同社では、「現在は不可能なことも、データを活用することで近い将来可能になる」という信念のもと、大規模企業にフォーカスしたビジネスを展開。現在、全業種を横断する形で1000社以上の顧客が存在し、Global 8000のうちの約600社でClouderaのソリューションが導入されているという。

 そして、同社の主力製品となるのが、クラウド環境に向けて最適化された機械学習と分析のためのモダンプラットフォーム「Cloudera Enterprise」だ。「従来は、データサイエンス、アナリティクス、オペレーショナルデータベース、データエンジニアリングは別々のアプリケーションであり、それぞれにセキュリティ、ガバナンス、ワークロード管理、取り込み・複製、データカタログを用意する必要があった。『Cloudera Enterprise』では、このすべての機能を1つのプラットフォームに統合し、データの場所にかかわらず、アナリティクス全体に適用できるようにしている」と、そのメリットを訴えた。

「Cloudera Enterprise」の製品概要

 最新の製品アップデートとしては、今年行った5つの製品イノベーションをピックアップ。

 機械学習の領域では、エンタープライズのための高速かつ容易でセキュアなセルフサービスのデータサイエンスを実現する「Cloudera Data Science Workbench」を新たにリリースしたという。

 また、機械学習とAIで業界をリードする応用研究「Fast Forward Labs」を買収。さらに、IoTのユースケースにおける高速な分析と機械学習のためのリアルタイムデータベース「Apache Kudu」を提供している。

 マルチクラウドの領域では、AWSとAzureにおける大規模なデータセット処理のためのマルチクラウドPaaS「Cloudera Altus」をリリース。そして、オンプレミスとクラウド環境において、多機能なデータアプリの低コストな開発と、よりセキュアな展開を可能にするソフトウェアフレームワーク「Cloudera Shared Data Experience(sdx)」を提供していると説明した。

第6の波「意志決定」のオートメーション化

 次に、米Cloudera 最高技術責任者(CTO)のアマー・アワダラ氏が登壇。アワダラ氏はまず、人類のオートメーション化の波について言及し、第1の波が「知識移転」、第2の波が「農業革命」、第3の波が「新規発見」、第4の波が「産業革命」、第5の波が「情報技術」と説明。そして、今まさに起ころうとしているのが、第6の波「意志決定」のオートメーション化なのだとする。

 この背景について、「近年、データ量が爆発的に増大し続けている一方で、データの処理コストは急速に低下してきている。膨大なビッグデータを、誰もが低コストで扱えるようになったことで、機械学習やAIが現実のものとなり、意志決定をオートメーション化していく時代に入った」と分析している。

米Cloudera 最高技術責任者(CTO)のアマー・アワダラ氏

 「この第6の波をリードするべく、当社は機械学習のためのエンタープライズプラットフォーム『Cloudera Enterprise』を提供している。『Cloudera Enterprise』をわかりやすく説明すると、“ビッグデータのスマホ”ということができるだろう。スマホの最大の魅力は、複数の機能が統合されていることだ。例えば、スマホで写真を撮ったら、そのままSNSにアップしたり、メールで送ったりすることができる。『Cloudera Enterprise』も同じように、データを取得するだけで、俊敏にアナリティクスやデータサイエンスなどを行うことが可能となる」と、「Cloudera Enterprise」の特長をスマートフォンに例えて説明。

 「『Cloudera Enterprise』の用途について、導入企業にアンケート調査をしたところ、パターン認識、異常検知、予測分析の3つの集約されることがわかった」と述べ、実際にユーザー企業にどのように使われているのかを紹介した。

 また、今年リリースした新製品「Cloudera Data Science Workbench」にも触れ、「この製品は、データサイエンスの開発から導入に至るまで、エンタープライズ向けにセルフサービス環境を実現するツールだ。非常にオープンなプラットフォームになっており、R、Python、Scalaなどの言語やあらゆるオープンソースライブラリをサポートしている。また、TensorFlowを使ってディープラーニングを行うこともできる。さらに、AIライブラリについてもオープンなエコシステムを提供する」と、オープンプラットフォームであることが大きなポイントであるとアピールしていた。