仮想化道場
Software Defined Data Centerを作るために~VMware
(2014/2/14 06:00)
SDDCを実現するための製品群
――実際にSDDCを構築するために、どのようなソフトウェアをリリースされているのですか?
VMwareでは、vCloud Suiteという製品をリリースしています。vCloud Suiteは、SDDCを実現するための第一歩の製品といえます。
具体的には、CPUやメモリなどのコンピュート部分の仮想化を行うvSphere、ネットワークやセキュリティ部分のvCloud Networking and Security、ストレージ部分のvCenter Site Recovery Managerをベースに、運用管理のvCenter Operations Management Suite、自動化を担うvCloud Automation Centerなどによって構成されています。
ネットワークとストレージに関しては、より高い仮想化を行うために、ネットワークの仮想化(SDN)を行うNSX、分散ストレージを実現するVirtual SANなどのオプションも用意されています。
コンピュートの仮想化を担うのがvSphereですが、ハイパーバイザーやvCenterなどの管理ツールだけでは、SDDCを構築する上ではパーツが不足しています。仮想マシンのキャパシティプランニングについてもそうですし、現在動作している仮想マシンをチェックして多大にリソースが割り当てられていないか(オーバープロビジョニング)、仮想マシンの動作をチェックしてパフォーマンスに問題がないのかなど、仮想マシンの細部にわたって情報を取得して、管理者に可視化し、チューニングする機能が必要です。これが、vSphere with Operations Managementになります。
vSphere with Operations Managementと(そこに含まれる)vSphereを利用することで、仮想マシンを詳細に管理するといったことが実現し、使用率の向上と統合率の向上しました。適切な管理が行えることで、1台のサーバーで動かせる仮想マシン数が増えたり、使用するサーバーのコストを抑えたりすることができます。また、仮想マシンの内部から詳細に管理するため、トラブルシューティングにかかる時間も短くなります。
またvCloud Suiteは、vSphere 5.5をサポートしているので、vSphere 5.1に比べるとサポートする物理CPU数が2倍(160個から320個)、メモリ容量も2倍(2TBから4TB)、仮想CPU数も2倍(2048個から4096個)と、すべての面で2倍の性能となっています。これ以外に、仮想ディスクのVMDKも62TBにまで拡張されています。さらに、遅延が許されないアプリケーション向けに仮想マシンをチューニングすることも可能になりました。
【お詫びと訂正】
初出時、仮想CPU数を仮想マシン数と誤って掲載しておりました。お詫びして訂正いたします。
加えて、vSphere with Operations Managementには、アプリケーションやOSの障害を検知し、別の仮想化サーバーに仮想マシンを移動するvSphere App HA機能が搭載されています。
vSphere App HAは、OSだけでなくアプリケーションの障害も検知します。Exchange、SQL Server、Oracle、SharePointなど、多くのアプリケーションの障害を検知できるようになっていく予定です。
また、vSphere HAと連携して、仮想マシンにトラブルがあった場合、仮想OSだけでなくアプリケーションを自動的に再起動します。それでもトラブルが起こるようなら、別のサーバーにvSphere HAの機能を使ってスイッチすることもできます。
vSphere Replicationでは、ディザスタリカバリ環境を簡単に構築できます。遠距離にあるサイトにvMotionやStorage vMotionの機能を利用することで、簡単にレプリケーションができます。便利なのは、複数のスナップショットが保存されているため、レプリケーションする場合どの時点のスナップショットを利用するのか指定できます。
vSphere Data Protectionは、EMC Avamarベースのバックアップツールです。Avamarの強力なバックアップ/リストア機能がvSphere上でも利用できるようになりました。vSphereホストに直接リストアしたり、VMDKを個別にバックアップ/リストアすることができるようになりました。
vSphere5.5(Enterprise Plus)では、vSphere Flash Read Cacheという機能が用意されています。この機能は、フラッシュストレージをCPUやメモリと同じように仮想化して利用できるようにしました。仮想フラッシュを仮想マシンのストレージキャッシュとして利用することで、仮想マシン単位でストレージの読み込みが高速化します。
フラッシュストレージに関しては、デバイスレベルでの仮想化がおこなわれたことで、vMotion、DRS、HAなどの機能でも利用することができます。