仮想化道場
IDF13 San Franciscoに見る、2014年のサーバー向けプロセッサ
(2013/10/1 06:00)
9月10日から、米国サンフランシスコでIntelの開発者向けセミナー「Intel Developer Forum 2013 San Francisco」(以下、IDF13 San Francisco)が開催された。そこで、IDFの資料などをもとに、2014年に予定されているIntelのサーバー向けプロセッサを解説していこう。
XeonシリーズはIvy Bridge世代へ
9月上旬に発表された、2ソケットサーバー向けのXeon E5-2600 v2と1ソケットサーバー向けのXeon E5 1600 v2は、「Ivy Bridge-EP」という開発コード名から分かるように、Ivy Bridge世代のプロセッサだ。多くのサーバーベンダーは、Xeon E5-2600 v2を2ソケット搭載したサーバーをリリースする予定で、もっとも台数の出る分野となるだろう。
さらに2013年内には、4ソケット以上のサーバーに対応する新しいXeon E7、開発コード名「Ivy Bridge-EX」として呼ばれているものがリリースされる。
開発コード名の最後の“EX”という名称が表すように、Xeonシリーズにおいてはもっともハイエンド向けで、主に4ソケット以上のサーバーで利用するプロセッサになる。
現在提供されているXeon E7シリーズは、Sandy Bridge世代よりさらに1世代古いWestmere世代(製造プロセスは32nm)となるので、Ivy Bridge世代から見ると2世代古い。主に、企業の基幹システムで利用するようなサーバーで採用されているXeon E7シリーズだが、さすがに最近のサーバーでは積極的には採用されておらず、新しい世代へのアップデートが待ち望まれていた。
その新しいXeon E7シリーズ(Ivy Bridge-EX)は、最大15コア/30スレッド、内蔵キャッシュメモリが約40MBになると予想されている。搭載できるメインメモリもプロセッサあたり1.5TBで、8ソケットサーバーではトータル12TBもの巨大なメインメモリを搭載するサーバーとなる。また、サポートされるメモリも高速化されるため、全体のパフォーマンスもアップする。
新機能としては、Xeon E5 2600 v2で搭載された、繰り返しの少ないランダムな数字を生成するIntel Secure Key(RDRAND)、スーパーバイザーモードにおける実行保護を行うIntel OS Guard、仮想化機能のACPIvなどが搭載されるだろう。
またXeon E7には、企業のミッションクリティカルシステムで必要とされるRAS(Reliability、Availability、Serviceability:信頼性、可用性、保守性)機能が盛り込まれ、ハードウェアにトラブルが起こっても、システムをダウンさせない仕組みになっている。
さらにIvy Bridge-EXでは、Run Sure Technologyという機能が搭載される予定だ。Run Sure Technologyは、プロセッサの各部分が正しく動作しているかをチェックし、エラーが起こっていた場合は、その部分を切り離す仕組みである。これにより、パフォーマンスが低下しても、システムダウンを起こさずに動作し続けるようになる。
加えて、前述したように、Westmere世代から2世代進化したCPUアーキテクチャと製造プロセスが採用されるため、15コア/30スレッドというパワフルなプロセッサでありながら、現状のXeon E7シリーズよりも低消費電力化が果たされていることだろう。
Intelによれば、Ivy Bridge-EXは2013年Q4にリリースするとしている。このため、プロセッサの発表自体は10月から遅くとも12月までに行われるだろう。同時に、HPを筆頭に数社から新しいXeon E7を採用したサーバーも発表されると思われる。
なお米HPなどでは、Itaniumを使用したHP Integrityサーバーと、コストパフォーマンスの高いx86のProLiantサーバーを融合した製品として提供しようと計画しており、そこに新しいXeon E7サーバーが用いられると予想されている。