週刊海外テックWatch

GoogleのGeminiでSiriを強化 AI開発でAppleが方針大転換

 「GAFA(M)」として競合しながらも密接な協力関係を続けてきたAppleとGoogleがAIで手を結ぶ――。両社は1月12日、AI分野での複数年にわたる提携を発表した。Googleの「Gemini」が次世代Apple Foundation Modelsの基盤となり、2026年中にリリース予定の新しいSiriを支える。契約金額は推定年間10億ドル。だが、独占禁止法上の懸念やAppleの自社開発能力への失望も浮上している。

自社開発を断念してGoogleと提携

 「慎重な評価の結果、GoogleのAI技術がApple Foundation Modelsにとって最も有能な基盤を提供すると判断した」。両社の共同声明でAppleはこう述べ、「Appleユーザーに提供する革新的な新体験に期待している」と続けた。

 TechCrunchによると、この契約は非独占的なもので、Appleは推定年間10億ドルをGoogleに支払うという。この額は、Googleの検索エンジンをAppleデバイスのデフォルトに設定する既存契約の年間200億ドルと比較すると小規模だが、AI分野における戦略的重要性は極めて高い。

 Googleとの提携に至るまで、Appleは困難な道のりを歩んできた。当初、次世代Siriを完全に社内で構築する方針だった。ソフトウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントCraig Federighi氏は、2025年6月のWWDC(Worldwide Developers Conference)後のインタビューで、「社内でV2アーキテクチャを提供するまで、(新しいSiriのリリースを)待つ」と述べていた。

 V2アーキテクチャとは、ユーザーのデバイスとニーズを深く理解し、アプリ間を連携して代わりに行動できる、より高度なSiriを実現するための根本的なシステム設計だ。だが、Federighi氏はこの時、V2開発の遅れも示唆していた。「高い品質基準に達するためにもう少し時間が必要で、来年に詳細を共有できることを楽しみにしている」(The Verge)。

 その後もAppleのAI戦略は遅れ続け、AI業界での立ち位置に疑問が高まった。自社開発での実現が困難と判断したAppleは、外部企業との提携へとかじを切る。The Vergeによると、Appleは過去1、2年の間にOpenAI、Anthropicなど複数のAI企業との提携を検討。複数の候補の中から、最終的にGoogleが選ばれた。