仮想化道場
Broadwellコアベースの省電力プロセッサ「Xeon D」
(2015/3/10 06:00)
Broadwellコアの機能
Xeon DのCPUコアは、Core Mや第5世代のモバイル用Core iプロセッサで使用されているBroadwellコアからは、機能が拡張されている(今までは切ってあった機能がオンになっているのだろう)。Broadwellコアは、前世代のHaswellコアからアーキテクチャはそれほど変わっていないが、内部の設計をチューニングすることで、5.5%ほどのIPC性能のアップを果たしている。
命令セットとしては、AVX 2.0のサポート、AES-NI命令を暗号化に利用できるようになっている。さらに、Haswellコアでトラブルが起こり、非サポートになったTSX(Transactional Synchronized Extensions)が、マルチスレッド環境でキチンと動作するようになった。TSXは、マルチスレッド/マルチソケット環境において、ほかのプロセスが同じメモリを書き換えてしまい、データの整合性を壊してしまわないように、メモリを保護する機能だ。通常ソフトウェアで実現されるが、TSXではプロセッサでサポートするため、パフォーマンスがアップする。
さらに、OSの動作をプロテクションするために、Ivy Bridge世代のプロセッサからサポートされていたSupervisor Mode Execution Protection(SMEP)に、メモリ保護機能を追加したSupervisor Mode Access Protection(SMAP)を追加して、システムのプロテクションを高めている。
また、暗号化のキーとしてランダムな数字を発生するRDRANは、1つのSEEDを使って、ランダムな数字を発生させるため、SEEDの初期化が行われるまで、よく似た数字が発生することがある。そこでXeon Dでは、RDSEEDという命令を追加して、別のSEEDを設定して暗号化キーを発生できるようにした。
このほか、RSA公開鍵を発生させるスピードをアップしている。
このあたりの暗号化や乱数に関する機能は、サーバーにとっては大きなメリットがある。プロセッサの命令としてインプリされていれば、ソフトウェアよりも高い性能を出すことが可能になるからだ。
仮想化関連の機能としては、CPUコアのアプリケーションごとにLLCに対してキャッシュの配置を最適化するCache Allocation Technology、各メモリチャネルにかかる負荷をモニタリングすることで、負荷を平均化するMemory Bandwidth Monitoringが利用できるほか、Posted Interruptsにより、以前からサポートされていたAPICvの機能が十分働くようにした。これ以外にも、仮想化のベースとなるVM Enter/Exitのレイテンシの削減などが行われている。
RAS機能としては、Xeon E5/E7のように多くの機能は持っていないが、MCA and Corrected Machine Check Interrupt(CMCI)、PCI Express End to End CRC(PCIe ECRC)など、多くの機能がサポートされている。ただし、メモリミラーリング機能、メモリチャネルのLockstepなどの機能はサポートされていない。