仮想化道場
2015年のサーバープロセッサを解説する
(2014/12/26 06:00)
2015年のサーバープロセッサでは、それほど劇的な動きはなさそうだ。ただ踊り場に入ったといっても、停滞しているわけではなく、それなりの動きはある。
そこで、今回は2015年のサーバープロセッサを解説していく。
Xeon Dで高密度サーバー分野を狙うIntel
2014年9月に米国サンフランシスコで開催された開発者向けのカンファレンス、Intel Developer Forum(IDF) 2014において発表されたのがXeon Dだ。
このプロセッサは、先日ノートPC向けに発表されたBroadwellアーキテクチャのCore Mをベースとしたものだ。Core Mと同じくMCM(Multi Chip Module)で、CPUとチップセットが一体となったSoC(System on Chip)として提供される。
Xeon Dの最大の特徴は消費電力だろう。IDF 2014で発表されたTDPは15Wとなっている。このためXeon Dは、2013年に発表されたサーバー向けAtomプロセッサのAtom C2000シリーズと同じような、マイクロサーバーや高密度サーバー、ネットワーク、ストレージを狙ったプロセッサといえるだろう。
Xeon Dのアーキテクチャやコア数など、詳細は明らかにされていないが、Core Mをベースとしているため、VT-x、VT-d、AVX、AES-NIなどがサポートされていると推測される。
なお、Core Mをそのままサーバー向けのXeon Dとして流用するのではなく、モバイルプロセッサとして必要なグラフィックブロックはサーバーでは省かれるため、その部分にCPUコアを増やすだろう。
このため、Core Mが2コアなのに対して、Xeon Dでは最大8コアになるのではと予測されている。サーバー向けのAtom C2000シリーズが最大8コアであるため、これとバランスをとる必要があるからだろう。またチップセットに関しても、Core Mのチップがそのまま利用されるのではなく、I/Oなど強化したチップが新たに作られるだろう。
Atom C2000に関しては、鳴り物入りで発表されたが、大手サーバーベンダーでの採用は進んでいない。HPのMoonshotに採用されたぐらいしか筆者は知らない。そこで、サーバーで絶大なシェアを持つXeonブランドの流れをくみ、Xeon Dをリリースしたのかもしれない。Atom C2000シリーズではパフォーマンス面で満足がいかなかったり、Xeonの新しい命令セットが利用したかったりする場合などには、Xeon Dが利用されるのだろう。
今後データセンターは、Software Define化していく。ネットワーク機器に関してもSDN(Software Defined Network)化されることで、ネットワークスイッチやストレージもx86サーバーをベースとしたモノに変わっていく。実際、オープンソースのSDN対応のネットワークOS、ストレージOSが提供され始めている。こういったSDx化された機器を動かすハードウェアのベースとしてXeon Dが利用されるのではないか。
Atomに関しては、2013年に発表されたSilvermontコアの次世代としてAirmontを2014年にリリースするとしていたが、どうもスケジュールが遅れているようだ。サーバー向けの新しいAtomに関しては、発表されるとすれば夏以降になるだろう。
現在、IntelはIoT分野に注力しているため、もしかすると2015年にはサーバー向けプロセッサのラインアップを整理するかもしれない。サーバー向けのAtomはXeon Dに置き換わってしまう可能性もある。