仮想化道場

新しい仮想化「Docker」を搭載したRed Hat Enterprise Linux 7

XFSファイルシステムの機能拡張

 RHEL 6では、最大100TBのファイルシステム(XFS)が使用できたが、RHEL 7ではXFSを機能拡張して、最大500TBもの広大なファイルシステムが使用可能になった。大きく変わったのは、デフォルトがRHEL 6のext4から、RHEL 7ではXFSに変更されたことだろう。

 またRHEL 7では、ext4も機能拡張され、50TBまでサポートされた。ext4は、旧バージョンのext2、ext3などにアクセスできるようになっているため、古いファイルシステムとの互換性も保たれている。

 さらに、現在はテクノロジープレビューだが、コピーオンライト方式のファイルシステムBtrfsもサポートされた(最大50TB)。Btrfsは、ファイルの耐障害性、高い修復機能などを持っている。

 さらに、Parallel NFSも性能とスループットが向上している。

RHEL 7では、XFSがデフォルト ファイルシステムになった。最大500TBと信じられない大きさのファイルシステムになった
RHEL 7では、XFS以外に、旧来のext4、テクノロジープレビューのBtrfsもサポートされている

 もう一つ、UNIX/Linux OSがずっと使い続けていたinitデーモンが、systemdに変更された。

 systemdでは、initに比べるとシェルのオーバーヘッドの低減、システム立ち上げの並列化などが行われている。ある意味、ずっと残っていた古いシステムがsystemdによってやっと変わったとも言える。

 systemdになったといっても、initのスクリプトがそのまま利用できるため、管理者にとっては新しくスクリプトを書き換える必要もない。またsystemdは、cgroupを使ったサービスプロセス管理が行えるため、initのために専用の管理ツールを作成したりしていたのを廃止できるとしている。

古くから使われていたデーモン管理がinitdからsystemdに変更。起動時間の短縮、管理性の向上などが行われた

 また、今までRHELのメージャーアップグレードというと、アップグレードの作業が面倒だったり、アップグレード後アプリケーションが動作しなくなったりすることがあった。

 そこでRHEL 7では、プレアップグレードアシスタントが用意された。この機能を使えば、RHEL 6.5環境でOS状況、アプリケーションの状況をチェックして、RHEL 7にアップグレードしても問題がないのか、問題があるとすればそのような問題で回避方法はどのようなものがあるのかなどをアドバイスしてくれる。これに従ってRHEL 7にアップグレードすれば、アップグレード後のトラブルを最小限にすることができるという。

 このあたりは、RHELがバージョンを重ね、RHELを利用するユーザーのすそ野が増えてきたことが影響しているのだろうか。Windows Serverのように、多くのIT管理者がアップグレードできる環境が、RHELでも必要になってきているのだろう。

RHEL 6.5からRHEL 7へのプレアップグレードアシスタントにより、アップグレード後の問題点を指摘

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 RHEL 7は、RHEL 6に比べるとDocker以外は目立つ機能追加はないようだが、地味にRHELを多くのIT管理者に使いやすいようにしている。ある意味、RHELとしては、高信頼、高い安定性ということを考えればRHEL 7は注目に値するだろう。企業のIT環境においては、RHEL 7のADサポートなど、Windows環境との親和性も上がっているため、RHELとWindowsとの混在環境でも使いやすくなるはずだ。

 Dockerに対しては、動作や管理などの基本的なインフラは整ったが、コンテナ化という新しい仕組みのため、開発者が新しい使い方を学んでいる状況といえる。今後、Docker自体がもう少しバージョンを重ね、多くのツールやコンテナイメージが整備されてくれば、今までとは違った使い方も出てきて、企業内の利用も進んでいくだろう。

 実際、AWSはElastic BeanstalkでDockerをサポートしている。また、Googleが開発したDockerコンテナのオープンソース管理ツール「Kubernetes」プロジェクトに対して、Microsoft、Red Hat、IBM、Docker、Mesosphere、CoreOS、SaltStackなどが支持を表明している。実際Microsoftは、Microsoft Azure上でLinux版Kubernetesやlibswarm(複数のホストに分かれているDockerコンテナを抽象化し、1つのホストで動作しているかのように管理できる)をサポートすると表明している。

 このように、Dockerは、Linux OSだけでなく、パブリッククラウドにも大きな影響を与えるようになるだろう。

山本 雅史