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RHEL 7は「オープンハイブリッドクラウドの基盤」~レッドハット戦略説明会
(2014/3/19 06:00)
レッドハット株式会社は18日、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)の販売戦略に関する記者会見を開いた。Red Hatの新会計年度が3月から始まったことにともなう、新年度の方針の表明となる。
認定パートナー社を倍の500社に、全てのOEMパートナーでクラウドへのRHEL販売を展開、
レッドハット株式会社の執行役員でパートナー・アライアンス営業統括本部長の古舘正清氏は、日本における2014年のRHELの販売方針として、「成長分野へのフォーカス」「新ソリューションの提供」「エコシステムの拡充」「RHEL 7」の4つを挙げ、そのうち前の3つを中心に説明。パートナーエコシステムについては、「現在約250社の認定パートナーを、500社と倍に拡大する」と述べた。
古舘氏はまず、2013年度のLinuxビジネスの成果について「非常に堅調に成長した」とコメント。その要因として、メインフレームやUnix、Windowsからの移行を含む「データセンターのモダナイゼーション」と、パブリッククラウドとプライベートクラウドにおける「クラウド対応の加速」の2つを挙げた。
その上で説明した2014年度の方針が、上で挙げた4つだ。まず、「成長分野へのフォーカス」としては、「仮想環境へのRHELの販売」「クラウドへのRHELの販売」「メインフレームやUnix、Windowsなどからのマイグレーション」「OpenStackのゲストでNFV(ネットワーク機能の仮想化)のためにRHELを動かすなど、組み込み用途のInternet of Things」の4分野が語られた。
中でも「クラウドへのRHELの販売」については、オンプレミスとクラウドとでライセンスのポータビリティを認める「Cloud Access」サブスクリプションや、OpenStack向けのライセンスなどについて、「現在は一部のパートナーに提供しているが、今年度はすべてのOEMパートナーに提供する」(古舘氏)と積極的な展開を表明。
残る2つの方針である新ソリューションとエコシステムについては、「ABCD」、すなわち「Advanced Mission Critical(ミッションクリティカル)」「Big Data(ビッグデータ)」「Cloud(クラウド)」「Datacenter Modernization(データセンター刷新)」の4分野から説明がなされた。
「ABCD」のうち、特に直近の注力分野が、「A」のミッションクリティカル分野と、「D」のデータセンター刷新の2つ、つまり、レガシーからのマイグレーションだ。この点について、ソリューションとしては、2013年9月に開始した「OSSインテグレーションセンター」を古舘氏は紹介した。ユーザー企業やパートナー企業がレガシーシステムからLinuxとOSSへの移行を考えるときに相談する、ロードマップ作成の無償ワークショップだ。氏の説明によると、半年で50社以上の相談があり、10社以上が移行を決めたという。
また、エコシステムの拡充については、現状の4分野における認定パートナープログラム(計約250社)を紹介したうえで、前述したように、「今年は500社に拡大する」と古舘氏は発言した。「増やす部分は主に、Windowsのクライアントサーバーシステムのパートナーを、マルチデバイスとクラウドへの移行で取り込む」(古舘氏)。
RHEL 7は「オープンハイブリッドクラウドの基盤」
4つ目の方針である「RHEL 7」については、米Red Hat社 副社長兼プラットフォーム事業部門長のジム・トットン氏が説明した。次期バージョンであるRHEL 7は、現在ベータテストの段階であり、2014年度にリリースを予定されている。
トットン氏はまず、サーバーOSとしてLinuxがシェアを伸ばしてWindowsと“2強”となってきていることや、その有償Linuxの中でRHELが65.4%(日本では85%)のシェアを持つことを紹介。さらに、Red Hatの歴史の中で、製品が物理環境のRHELのみだった時代から、現在ではIaaSやPaaS、ミドルウェアなど、「オープンハイブリッドクラウド」を実現するための幅広いレイヤーの製品ポートフォリオにまで広がっていると説明し、RHEL 7を「オープンハイブリッドクラウドの基盤」と位置づけた。
トットン氏はRHEL 7について、主要な変更点6つを紹介した。プロファイルに基づくパフォーマンスの最適化、デフォルトのファイルシステムがXFSになること、コンテナ技術への対応、Windowsとの相互運用性、RHEL 6からのアップグレード支援ツール、OpenLMIを利用した多数のサーバーの管理だ。
氏が特に大きく取り上げたのが、Windowsとの相互運用性と、コンテナ型仮想化技術への対応だ。コンテナ型仮想化技術については、「パートナーとの協力が重要」として、3月にISV向けに開始した、「Docker」技術によるコンテナへの対応の認定プログラム「Red Hat Container Certification」を紹介した。
また、トットン氏が大きく取り挙げた2点目である、Windowsとの相互運用性とは、ActiveDirectoryとの認証の接続であり、前述の“2強”のOSの共存を支援する。この点について、Windowからのマイグレーションを強化する方針との関係を質問すると、トットン氏と古舘氏は「企業がRHEL上へのマイグレーションとして新しいアプリケーションに移行するときに、従来からあるActiveDirectoryの認証システムが利用できる」点を意義として強調した。