週刊海外テックWatch

Appleも値上げ AI需要が引き起こした「メモリの終末」
2026年6月29日 11:28
AI需要の爆発的な拡大が、DRAMやNANDなどメモリ製品の世界的な供給危機を引き起こしている。2025年以降の価格急騰で、これらを必要とするスマートフォン、パソコン、ゲーム機のメーカーは価格の見直しを迫られている。メディアはこの状況を「Memory Armageddon(メモリの終末)」と呼んでいる。多くの調査会社やメーカー幹部は、供給制約が2028年以降も続くと指摘している。
メモリ価格がコンシューマー機器を直撃
「これは100年に一度の洪水だ」。6月17日付のWall Street Journalのインタビュー記事で、Apple CEOのTim Cook氏は、メモリのひっ迫をこう表現。「消費者を価格上昇から守ろうとしてきたが、持続不可能となった」と述べて、製品価格を引き上げる考えを示した。
そして実際、6月15日にMacとiPadについて100ドルから300ドル程度の値上げを発表した。iPhoneについては述べていないが、Wall Street Journalが引用した調査会社TechInsightsの試算では、次世代「iPhone 18 Pro」は270ドルの上乗せが必要となり、想定価格は1299ドルに達する可能性があるという。
Appleだけではない。英国の新興スマートフォンNothingは、廉価ライン「CMF」の次期モデル開発の中止に追い込まれた。共同創業者のAkis Evangelidis氏は「現在のメモリ価格では、手頃な価格帯で本物の進化を感じさせる端末は作れない」と述べた。
続く6月22日付のWall Street Journalは「Memory Armageddonが到来した」と報じた。Microsoftは新型Surface Proを前世代比600ドル値上げして1599ドルとし、任天堂は「Switch 2」を50ドル引き上げて499ドルとした。ソニーも「PS5 Pro」を749ドルから899ドルへ引き上げた。Gartnerが2月に発表したレポートでは、世界のPC価格が年内に前年比17%、スマートフォン価格が同13%増になると予想している。
メモリ価格の高騰はすさまじい。台湾の市場調査会社TrendForceの6月1日の発表では、2026年第1四半期の通常DRAM契約価格は前四半期比で約2倍に跳ね上がった。これを受けてDRAM業界全体の収益は81%増の970億ドルに達し、TrendForceは第2四半期もさらに6割前後の上昇が続くと予測している。