週刊海外テックWatch
Appleも値上げ AI需要が引き起こした「メモリの終末」
2026年6月29日 11:28
「ひっ迫は今後数年続く」
この出口はどこにあるのか――。価格正常化への道筋は険しい。
半導体調査会社TechInsightsは6月26日付のレポートで、DRAMとNANDの需要ひっ迫は今後数年単位で続く可能性があるとしている。PCやスマートフォンの最低限のメモリ搭載量は定着して簡単に削減できないなど、従来と環境が異なると指摘。「今回の不足は一時的な在庫不均衡の結果ではない」と分析する。そして、「供給を確保するうえで事実上、代替手段は存在しない」と厳しい見方を示す。
新工場の建設は動き出しているが、一般的に着工から本格稼働まで3~5年かかる。IEEE Spectrumのまとめでは、MicronはシンガポールのHBMファブを2027年に稼働させる予定だが、ニューヨーク州オノンダガ郡に建設中のDRAMファブ複合施設の本格生産は2030年になる見込みだ。Samsungの韓国・平沢の新工場は2028年に生産開始。SK Hynixはインディアナ州のHBMおよびパッケージング施設を2028年末に、韓国清州のHBMファブを2027年に完成させる計画だ。稼働しても安定した歩留まりになるまでには、さらに時間がかかる。
だがその間にも、状況はさらに悪化している。TrendForceは6月17日のレポートで、DDR4などのレガシーDRAMでも不足が生じていると伝えている。主要DRAMメーカーが先端プロセスへ生産能力を集中させるなか、調達できなくなったメーカーがDDR3やDDR2といった旧世代へ仕様を落とすケースが増えているという。不足の連鎖が旧世代品にまで波及しているのだ。
IEEE Spectrumは、経済学者やメモリの専門家への取材から、「AI分野で大規模な崩壊が起きない限り、供給が需要に追いつくのに数年を要するだろう」とまとめている。そして「その時点でさえ、価格は高止まりする可能性がある」としている。