週刊海外テックWatch
Anthropicと国防総省の決裂 問われるAI軍事利用の主導権
2026年3月9日 11:35
Anthropicは折れず、OpenAIは契約した
Anthropicが政府と激しく対立する一方、ライバルは対照的な道を選んだ。
OpenAI CEOのSam Altman氏は、サプライチェーンリスク指定が発表されて数時間後のXへの投稿で、国防総省との機密ネットワーク展開で合意したことを発表。「国防総省が、国内での大規模監視の禁止と、自律兵器システムを含む武力行使における人間の責任の原則に同意した」と説明した。
しかし、この発表には社外のみならず、社内からも強い反発がわき起こった。同社の研究者Aidan McLaughlin氏は自身のXで、「個人的には、この契約は価値がないと思う」と投稿した。
Wall Street Journalによると、OpenAI社内では、大量監視や完全自律兵器に自社技術が使用されることを明示的に禁止する契約を求める声が広がっていた。その後開かれた社内ミーティングでは、社員がAltman氏に質問を浴びせ、同氏は契約の詳細を説明した。
数日後のXへの投稿でAltman氏は、「問題は極めて複雑で、明確な説明が不可欠だった」と述べ、発表は拙速だったと認めた。あわせて、社内会議で説明した契約への追加条項を明らかにした。
- 米国修正憲法等に則り、AIシステムは米国人および米国国民に対する国内監視に使用してはならない
- 国防総省情報機関(NSAなど)では、現契約のままでは利用しない。その際は別途修正する
- 技術的にまだ対応できていない課題については、国防総省と協力し、段階的に対処していく
結果的にOpenAIの契約は、Anthropicが求めていた内容に近いものとなっているようだ。
Wall Street Journalによると、Altman氏は社内ミーティングで「米国の強い軍事力は過去250年にわたり人類全体に恩恵をもたらしてきた」と述べ、軍が決定権を持つことを尊重すると説明した。つまり開発企業として、軍が具体的にどうAIを使うかには介入しない考えだ。