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Blu-rayのB2B市場展開は成功するか? パナソニックがアーカイブ用途に提案する狙い (多層化技術を生かしたアーカイバルディスク)

多層化技術を生かしたアーカイバルディスク

 パナソニックがデータアーカイバーで利用しているのは、記録層を3層としたBlu-rayディスクだ。

 パナソニックでは、民生用として100GBのBD-XLを製品化しているが、これを生産できるのは、全世界でも、パナソニックのほか、ソニー、三菱マテリアルの3社だけだ。

 そしてパナソニックでは、2014年3月から、パナソニックとソニーが持つ技術を活用して、アーカイバルディスクの量産化を開始。これをデータアーカイバー向けに提供している。

 アーカイバルディスクでは、片面あたり3層を利用した、両面ディスク技術の活用という基本仕様を変えずに、信号処理技術を活用して大容量化したもの。民生用に使用しているBDフォーマットが、トラックのGroove部分だけを使用していたのに対して、アーカイバルディスクフォーマットでは、Land(平面部分)部分も使用する。

 具体的には、隣接トラックからのクロストークを除去し、両方のトラックを明確に切り分けて読み込むことができるようにする「クロストークキャンセル」機能を搭載。狭トラックピッチでの読み書きや、符号間干渉除去技術や多値記録再生技術による高線密度化などの信号処理技術によって、さらに大容量化を図ることができる。パナソニックでは、これに最適化した光ピックアップやシステムLSIも開発し、利用精度を高めたという。

 現在は、記録層の3層構造による100GBのBlu-rayディスクを活用しているが、今後、1層あたり50GBという大容量化を実現し、これを表に3層、裏に3層の記録層を設けることで、300GBのアーカイバルディスクを実現するという。さらに、2018年度以降には500GB、2020年以降には1TBのアーカイバルディスクが利用できるようになるという。

 「2020年以降には、1TBのBlu-rayディスクを、マガジンに12枚搭載することで、12TBの容量を実現できるようになる」とする。

1枚あたり1TBのディスクも開発中という

(大河原 克行)